takarock さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
感情を大きく揺さぶるキャラ作りについて
キリト無双過ぎるとか、中二病だとか、ご都合主義だとか
そんなことは1期を視聴した時点で分かっていたことなので、
今更ここで語るつもりはありません。
本作の特徴としてよく挙げられるのが、
賛否両論だとか中高生向きとかそんなところでしょうか。
なぜ本作は賛否両論なのか、そして中高生向きと言われるのか
その辺を意識しながら、
主に「キャラ作り」というテーマで語っていきたいと思います。
ちなみにですが、私が中高生の立場だったら、
中高生向きと十把一絡げにされるのはかなりイラッとしますねw
「おいおい、中高生だからってSAO好きなわけじゃねーからな!」
と吠えているところでしょうw
「敵キャラの作り方」
「デスガン」というネーミングは如何なものかということはさて置き、
相変わらず下衆過ぎる敵キャラですねw
「SAO」と同じ作者の作品「アクセル・ワールド」の敵キャラもそうでしたし、
1期のアルヴヘイム・オンラインの須郷(CV.子安武人)もそうでしたけど、
まーひたすら下衆ですw 品性の欠片も感じられない程とにかく下衆w
私はこういうキャラ作りがあまり好きではありません。
「愛とか友情とかくだらねぇママゴトなんざ吐き気がするんだよ!ヒャッハー!」
「テメーをぶっ殺した後にあの女のことはたっぷり可愛がってやるぜ。ヒャッハー!」
こんなような下衆い台詞を言わせておけば成立してしまう、
はっきり言って、稚拙なキャラ作りだと思います。
こういうキャラ作りって、初期の「ONE PIECE」なんかもそうなんですけど、
意外と多いんですよね。
何故か?
それは、それなりの効果があるからでしょう。
まず、視聴者なり、読者なりに、「こいつ、マジでムカつく」という憎悪の感情を
煽るだけ煽って、感情移入させてることによって話(ストーリー)に引き込むという効果。
そして、そういう本気でムカつく敵を、
主人公がぶっ倒すことによって得られるカタルシス。
つまりは、溜飲が下がるということですね。
勧善懲悪モノとして、話も作りやすいということもあるのでしょうね。
子供騙しとも思える手法なんですけど、
「水戸黄門」だったり、個人的に好きなドラマ「特命係長 只野仁」、
さらには「半沢直樹」とかもそうなんですけど、
勧善懲悪モノは意外と大人も好きという普遍的な側面もあって、侮り難しなんですよね。
まぁドラマの敵キャラは下衆でも、役者さんの演技によって魅力的に映ったりもしますし、
アニメの場合だと声優さんの演技力で魅せるということもあるんですけど、
キャラ作りという点で言えば、記号みたいな下衆いだけの敵キャラに魅力は感じません。
もちろん、愛すべき下衆い敵キャラというのは存在しますが、
その違いはなんでしょうね? 信念だったり、人間らしさが垣間見える点でしょうか?
本来ならばもっと徹底的に考察すべきポイントなのでしょうね。
少なくとも本作の下衆い敵キャラは記号的で、魅力は感じません。
「ユウキというキャラ」
マザーズ・ロザリオ編にでてくるユウキというキャラなんですけど、
このキャラって、後の死別によって視聴者を泣かせる(≒感動させる)
ストーリーありきで作られていませんか?
そして出来得る限りの過酷な境遇を背負わせたのは、同情を誘い、
より一層視聴者を泣かせよう(≒感動させよう)ということを狙っていませんか?
≒という記号を使ったのは、泣くことと感動するというのは同義ではないからです。
例えば、これがキリトたちのいつものパーティーの誰かで、
前々からそのことを何となく匂わせていたということなら、こうは思いませんでしたけど、
感動話の為の急ごしらえで作られたキャラという
偏見という名のノイズが、終始私の頭の中を這いずり回っていました。
死別のシーンも、内々だけで粛々とその時を迎えるという方がよかったんじゃないですかね。
多くのプレイヤーたちが集まってくるとか正直いらなかったです。
「この人たち暇なの?」とか「なんかテラフォーマーズのGみたい」とか、
ノイズが走りまくって素直に感動できませんでした。
今回私が取り上げた「敵キャラ」と「ユウキというキャラ」、
両者に共通しているのは、
視聴者なり読み手の感情を大きく揺さぶることを狙ったようなキャラ作りということです。
そして、それは老若問わず、純粋な心にはクリティカルヒットしますが、
私のようなひねくれ者の汚れた魂には届きづらいということかもしれません。
そして、大きく感情を揺さぶるというのは、キャラ作りだけでなく、
特にマザーズ・ロザリオ編はストーリー自体もそうした作りになっています。
つまり、人を感情的にさせやすいということです。
ネット上の感想を少し覗いてみたのですが、
「この話で泣けない奴は糞」とか「こんなお涙頂戴で泣いてる奴は糞」とか
まー感情的なやり取りをしているわけです。少し落ち着けと。
私は、このシリーズのエンタメ性の高さというのはある程度認めていますし、
マザーズ・ロザリオ編だって全否定しているわけではありません。
ナーヴギアの医療的な役割とか、
あまり若年層の視聴者が観たくはないであろう、
親との諍いを取り扱うとか興味深い点もありました。
前者は、キリトの「より人と親密な形のVR機器の開発がしたい」という
将来の夢(目標)とも繋がってますし、
後者は、アスナが将来の為に現在とどう向き合っていくかという側面もあり、
マザーズ・ロザリオ編は、お涙頂戴がやりたいだけの意味のないパートなどでは
断じてない重要なパートだと思います。
ただ、ユウキというキャラの作り方が好きになれなかったということです。
作者の意図は知りません。あくまで私の印象の話です。
文句ついでに言わせてもらえば、これは本作全体の話なんですけど、
アインクラッド編のような死と隣り合わせの緊張感をもっと求めたいです。
そういう意味では、ファントム・バレット編はそういう緊張感があったのですが、
エクスキャリバー編は、お戯れを楽しめばいいの?とかなりげんなりでした。
あと、ユイの「パパ」「ママ」って呼び方にイラッとするのは私だけですかねw
無理やりまとめると、ごちゃごちゃ余計なことを考えず、
素直に作品に入り込むということが、本作を楽しむコツだと思います。
(ツッコミを入れながら視聴するというひねくれた楽しみ方もありますけどね・・・)