Dr.コトォ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
むだい
(自分用)
今更になってこの作品について書こうと思ったのは
最近、自分の部屋の本棚に11年ほど前に買った
文庫本の1巻が入っていたのを見つけたから、書きます。
今でも1巻の表紙の絵を見ると、この本を買った当時の感情と
そこから今までの記憶が走馬灯のように蘇ってくる。
だからこの絵はそう何度も見たいものではない。
初めて読んだライトノベルだった。
ほかの小説とは明らかに雰囲気の違う、挿絵が載せてある本。
ほかの小説とは隔離されたコーナーに陳列されている本。
(当時はそのコーナーに足を運ぶ人をなるべく見ないようにしていたかも知れない。)
なぜこの本を手に取ったかといえば、挿絵の空気感。
ネットで紹介されていたいくつもの紹介記事から選んで、
感覚的に「これだ」と思ったからというだけ。
そしてそれを本屋で見つけてしまった時と、レジに持って行った時の緊張感は
言葉では言い表せない。
違う世界に自分の意志で足を踏み入れた。
夢中になることができたという事に感動を覚えていた。
だけどまだ10代前半だった自分にとってこの物語は長すぎた。
読んでも読んでも終わりが見えない。
まるで週刊少年ジャンプの漫画のようにずっと続いていくんじゃないかと錯覚した。
そして9巻で挫折。今自分の部屋にあるのはその9巻まで。
でも物語の続きは気になって、新刊が出るたびにネットの感想を見たりして
あらすじを負い続けていた。
あらすじを追い続けている間には色々な事があって、
色々な事があり過ぎて、10年も経ってみたら
この物語は自分にとってそれほど重要なものではなくなってしまっていた。
そしてとうとう最終巻が発売されると同時にアニメ最終作が放送開始した。
この時だけはなぜか、あらすじだけを追う事をやめ、真面目に物語を見続けていた。
でもやはり特別面白い話という訳でもなく、義務感で見ている側面が強いのは否めなかった。
その時はもう既に自分にとって大切な物語にいくつか出会う事ができていたし、
もう昔の新鮮さは失われていると言わざるを得なかった。
でもそれでも最終回はやってくる。
その最終回の、
「覚えていてくれ」
というこの台詞だけが強烈に脳に焼き付けられた。
初めてこの作品を手に取った時の自分の心が、その時だけ一気に蘇ってきた。
そこからの10年はあっという間だったとは思えず、
自分にとって長すぎる辛すぎる10年だったけど、
あえてこの作品を選んだ当時の自分と、この作品の登場人物たちに
もしかしたら救われたのではないかと、その時に初めて感じた。
あぁ、終わってしまったんだと思った。
でも寂しくはなく、たまらなく心強く感じていた。
この最終回をTVで観たのは、学生生活最後の週、
自分が社会人になる1週間前だった。