セレナーデ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
欲張りすぎた。ポテンシャルはあった。
また微妙なもんを見ちまったなあという他なく。
だって描こうとしてるものがまとまってないんだもん。新キャラを送り込むことで六花とゆうたの仲を脅かしてハラハラさせたいのか、ゆうたへの恋慕の情が再燃してしまう新キャラの葛藤をプッシュしたいのか、中二病か恋路かの二者択一を迫られた六花のジレンマを紡ぎたいのか、中二設定をめぐった寸劇やくだらなくも熱い妄想バトルでB級を駆け抜けたいのか、アナタなにがしたいのよっていう。
要は欲張りすぎて添削や調整がうまくできてないんですよ。それぞれが単品で作品を引っ張れるメインテーマたりえそうなくらい主張の強い素材なのに、さも作品を香ばしく仕立てるスパイスのようにそれらを全て遠慮なしにつぎ込んでるせいで、作品のテーマがゴチャゴチャになってしまっています。ツギハギ感があるといってもいい。
着地の仕方から切り込んでみてもそう思う。
「その作品のテーマが何かは、締め方を見れば分かる」という伝でいくと、この作品のテーマは「六花とゆうたの恋の進展」とか「六花の恋路邁進の覚悟」あたりになるんでしょう。最終回で、自分なりの恋の仕方を覚悟した六花が、ゆうたと交わしていた契約のグレードアップをゆうた本人に所望することで、ステップアップの意思を体現してみせた。
じゃあ、六花の覚悟を魅せるその着地のシーンでカタルシスを生ませるために、ふさわしいストーリーテリングや適したスタートの切り方、必要なものとノイズチックなものの取捨選択がちゃんと徹底されていたかと訊かれると、へし折れるほど首を傾げざるを得ないんですよね。新キャラの葛藤・ドラマ性のプッシュの度合いとか、六花のジレンマ解消のタイミングとかを、もっと繊細に調整・計算して作っていれば、もっと心に響く最終回になれたんじゃないかと思うのです。
いろんな要素がそれぞれ必死に主張してくるこのストーリーラインには、イマイチ爽快感は覚えにくい。各ドラマを一本のメインストリームにまとめ上げる手腕のようなものも、残念ながら感じることはできませんでした。
素材に関してはいいものがあったと思いますよホント。恋と中二病との二者択一で悩みぬいた過去を持つ新キャラさんと、今まさにその選択に直面している六花さんとの対比は、なかなか説得力がありました。
それを、妹ちゃんの焼きそばくらいうまく料理できていれば。
その意味で言うと、リライティング次第でもっとスマートな作品に仕上りそうな感じはびんびんします。