karinchaco さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
賽殺し編だけでも本編終了後に視聴する価値あり
ひぐらしシリーズの第3期に当たる作品です。短編集という性質上テレビシリーズではなくOVAでのリリースになりました。
この3期は本編の内容とは違ってパラレルワールドと後日譚が全3編5話で構成されています。
・羞晒し編(全1話)
{netabare}モテモテになるはずがナルシストになる呪いがかかった圭一の海水パンツを脱がすお話。
これまでこのシリーズでは日常回があったものの、あくまでもその後のシリアスかつ陰惨な展開を彩るための伏線という意味合いが強かったと思います。しかし、このOVAシリーズではひぐらしのキャラクターで萌えを意識した物語を作ってみたという側面があるかと思います。
この羞晒し編では、いつもの部活メンバーに加えて大石や葛西、知恵先生、入江機関のメンバーたちが登場するなど主要メンバーオールキャストですね。その面々をフルに使ってのこのドタバタ劇はしょうもないと思いながらも楽しく見ることが出来ましたよ。{/netabare}
・賽殺し編(全3話)
{netabare}第2期祭囃し編の後日譚にあたると思われる話です。運命の昭和58年6月を乗り越えた梨花が交通事故をきっかけに、誰も罪を犯していない別のカケラの雛見沢に迷い込むお話です。
そこは、いつもの雛見沢ではなく高野先生の研究が認められて彼の名前の診療所が立ち、ダム戦争も起きず、誰一人として罪を犯していない世界。そんな中、梨花が元の世界に帰るためには山狗たちに殺されてはいない母を殺さなければならず、この誰もが罪を犯していない世界にとどまるか、母を殺してでも100年という長い時間をかけて勝ち得た元の世界に帰るかという究極の選択を迫られます。
どちらの選択をしたかは実際に作品をご覧いただくとして、ここではループという名のリセットのできる生き方を繰り返してきた梨花の価値観および存在そのものが問われることになります。
梨花にとって見たらこれは相当に答えると思います。この章全体で言われていることですが、あまりにも梨花が長い時をループし過ぎたせいで思考が神になったかの如く硬直化しているからです。
もちろん、この命題は梨花とともに4クール50話分付き合ってきた私たちにも投げかけられている気がしました。
あと、本編では決して描かれることのなかった梨花と母親との交流は心温まるものがありました。ちょっとうるっと来てしまいました。
そういった意味でも、私にとって物語全体を振り返り考え直すいい機会となったお話でした。{/netabare}
・昼壊し編(全1話)
{netabare}こちらはひぐらしの世界観をもとに作られた格闘ゲーム「ひぐらしデイブレイク」が元ネタになっているみたいですね。
羞晒し編が圭一をめぐる物語だったとしたらこちらはレナを中心に展開されています。レナの名台詞『嘘だっ!』をシリアスな場面ではないところでうまく使っていますね。
ところで、圭一のベストパートナーはいったい誰なんでしょうね。メインヒロイン第一候補はレナだったはずなんですけど、本編が進むにつれてどんどん出番が失われてしまって終盤ではすっかり影が薄くなってしまいました。しかし、このエピを見て改めて圭一君はレナにお持ち帰りされるべきだと思いましたよ。{/netabare}
総論
ひぐらしシリーズは基本的に出題編(第1期)と解答編(第1期・第2期)を見れば十分だと私は思っています。しかし、世界観と設定、キャラクターは2000年代のアニメを見てもトップレベルの出来だとも思っています。だからこそ、このようなパラレルワールドやスピンオフを作りたくなる気持ちはすごくわかります。事実、ひぐらしは二次創作も一時期盛んだったと記憶しています。
ただ、そこはいくらいってもパラレルワールドあり、スピンオフなので本編ほどの感動はなくキャラクターを利用した日常アニメ。日常アニメが悪いとは決して思いませんが、ひぐらしシリーズにどっぷり浸かっていろんな考察を繰り返した身としてはやはり物足りないものがありました。
そんな中、異彩を放っていたのが祭囃し編の後日譚である賽殺し編。全5話中3話を占めていたのでメインといっても差し支えないと思います。詳しい内容は前述した通りですが、アニメオリジナルエピソードも出来が良かっただけにこの話を膨らまして1クール10話ぐらいでできなかったんですかねぇ。(冷静に考えると無理だと思いますw)そのくらい見応えのある重要なテーマを扱っていたんだと思います。
まあ、どのエピソードも本編とは別にファンディスク的な扱いで原作がある話をアニメ化しただけなのでどのみち難しい話なんですけどね。
私的には本編視聴後に賽殺し編だけでも見てほしい作品です。