ダレイオス さんの感想・評価
3.8
物語 : 5.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
普通の人間の物語
まず思うことは、最近のアイドルアニメにしては暗い雰囲気で始まります。
プロローグからして、持ち歌が1曲だとか小さなステージで観客も少ないとか
正直、華はまったくありません。
アイドル事務所の社長の部下らしき男に未払い金の請求書が届いたり
どん底からスタートするアニメです。
最近のアイドルアニメとしては異質ではあるが
これはアイドル自体が楽しそうにしたり見た目を魅せるタイプと
普通の人間であるはずのアイドルの成長を見せるタイプの違いであり
タイプが違うということで個人的ではありますが納得しました。
本作のタイプは後者のアイドルの成長を見せるタイプだったです。
なのでアイドルが視聴者に媚びるシーンはまったくありません。
でも、それが普通でしょう。いくらアイドルだからといって私生活でも
媚びる態度を見せたり、楽しそうにしているサービスシーンを見せたりしないでしょう。
作品内のファンに媚びるシーンはあるでしょうが、それ以外は無いのは普通である。
もちろん、アイドルを魅せるタイプのアニメは否定はしませんし自分は好きだったりはしますが
本作はそれがテーマにはなっていないので、やはり無くて当たり前である。
ストーリーは事務所の社長がお金を持ち逃げしたりのトラブルから始まり
時には、目も当てられない汚れ仕事をしながらも、めげずに地道に努力して
無名から這い上がっていくオーソドックスな王道ストーリーでした。
ライブ中の踊りの最中にパンツを見えてしまうシーンもあるのですが
あれは視聴者に魅せるシーンではなく、あれくらいの根性が無ければアイドルとして
生きて行けないという覚悟のメッセージ性を個人的な勝手な解釈ではありますが感じたので
その根性には感動しました。
須藤という悪質プロデューサーは酷いと思いましたが
アイドル時代の下積みは、そういう暗い部分もあるということで
影の部分を見せた姿勢は評価します。
無名から這い上がる過程でも、ラジオやローカルテレビ局の小さなコーナーで地道に活動しながら
アイドルとしての知名度を上げる描写は丁寧で説得力はあったかな
泣かせにきているのはわかるのですが、お年寄りが出てきて影でアイドルを支えたり
その期待に答えるために頑張る展開はぐっと来るんですよね。
わかっているのに、良かったなと思えるのは、やっぱり丁寧に作られたストーリーだからでしょう。
メンバーの1人の真夢が元大手アイドルグループのメンバーにいることで
ストーリーに厚みが出ていたのも良かった。
彼女がいることで、色々な大人の動きが見られたので
面白さをプラスにしていたと思う。
そのせいで大人が目立っていたり、大人が汚い作品でもありましたけど
大人が汚いのが本作の特徴ではあるが、主人公側の都合のいい人物ばかりではないのは
普通は当たり前なので別に気にはならなかった。
ライバルグループの社長、白木はまあブラック企業の社長なのは否定は出来ませんが
実はそれなり人生を生き抜いてきただけあって
言っていることには意外と筋が通ってるんですよね。
その場でクビはアニメ的ではありやり過ぎだが
ただ実際のアイドルグループの本質はそんなに変わらないでしょう。
表に立っているのは生き抜いたアイドルであって、淘汰なしてわけではありません。
WUGをプロデュースする大人もキャラは立ってたかな
地味に活動していく内に目を付けてもらって
主人公達をプロデュースすることになった早坂は最初ガラは悪いし主人公達に難題を
押し付けたり、メンバーの1人をお払い箱にしようとしたり嫌な奴に見えたけど
言っていることには筋が通っていて、意外に色々考えているんだなと思えて
段々好感が持てるキャラになりましたね。
WUGのメンバーもそうはさせずと、お払い箱にさせまいと社長に相談したり
早坂に対して本気でぶつかって話し合ったり、意外にちゃんとしてたので好感が持てました。
マネージャの松田も早坂に対してメンバーを思うあまり対立したり
キャラの行動は三者三様に分かれていたけど、全員心にくるものはありました。
脇役も個性的で良かったと思います。
ネットの掲示板に投稿する男性は妙にリアリティーを感じました。
投稿する時あんな気持ちになるのはわかります。
最後はまとめはアイドルの祭典という王道で
内容もド根性の解決の仕方だったけど、なんか泣ける内容でしたね。
王道なんだけど、WUGのメンバーみんなでアイドルを目指して努力してきた結果なんで
スポーツものに見られる清々しさに通じるものがありました。
丁寧に積み重ねていったストーリー展開は本当に良かった。
そういえば本編開始前にあたる劇場版もあるそうですが自分は見てないのですが
問題はなかったですね。
見た方がいいみたいですが、意味がわからない展開はなかったです。
作画は正直悪いかな、キャラデザインが地味なのは作品の方向性としてマルだけど
キャラの作画が簡単作画なのは問題でしょう。
このアニメ内容はかなり良かったので、このサイトじゃなきゃ、あえて作画に触れないかもしれないですけど
一応作画の評価項目があるので言わざるえないかな・・・
キャラの見た目の違いは、髪型、服装だけで顔自体での区別は見極めはかなり困難なので
ハンコ絵の印象は拭えなくて、違いがそれだけなのは
キャラの見た目も重要視されるアイドルアニメとしては苦しいでしょう。
1話のライブシーンの作画は結構綺麗だったので、割合キャラの描分けが出来ていたので
キャラデザインのせいで見た目の違いがわかりにくいのではなくて
やっぱり作画が悪くて区別出来ないのは明らかである。
他にも3話冒頭の社長の握りコブシのシーンの作画の演出の悪さは笑えるなど
作画的には色々苦しかった。
ただ最低レベルの酷い作画になると各話数で顔が変わったり、
酷くなると同じ話数の中で顔が違ったりするものだが
この作品はそこまでは行ってないので、作画は低評価であるが最低レベルまでは行ってないかな
そういえば、背景だけはなぜか綺麗でした。
もしかしたら写真加工かもしれませんが自分には真相はわかりませんね。
綺麗だからいいか・・・としか思わなかった。
声優さんは新人を集めたものでしたが、意外にも上手かった。
萌えアニメの演技ではないので媚びてこそいないものの
棒にはなっていなくて、素人臭さこそあれ
あれは演技として見ることが出来ました。
感情的な場面でも棒になることなくハッキリと聞き取れる演技だったので
意外にも高評価ですね。
棒気味ならもう少し低くてもよかったけど、そうなっていないのでマイナス点はなかった。
このアニメは作画のクオリティーはイマイチなのにストーリーが私向けだったのか
物語だけなら個人的には最高でした。
私はこのアニメ実は8回見てるんですよね。
普通の人間の物語としては素晴らしい話だと思いました。
最初は作画が悪いことによる贔屓かと思ったけど
よく考えたら自分は作画悪くて物語が微妙な作品は高評価にしていないし何回も見たいとは思わないので
このアニメは私には何か特別なものがあったのでしょう。
たまにはこんなアニメもあってもいいかなと思ってしまった作品です。