退会済のユーザー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ミスマッチがマッチ
イブの時間。イメージから美しい作品と期待していた。ただ、その期待は裏切られた。より美しいという裏切りの形で。
人間が創り出した知能をもつアンドロイドが、唯一人間でいられる喫茶店での出会い、ふれあいを通して、アイデンティティの確立や逆に人間が、それまで道具のように扱ってきたモノに、心があると知り、人間とアンドロイド両者の在り方を描いたお話。
古典SF風理論で固めたような、使い古された設定を、新しくも肩の力が抜けるような演出で、一見ミスマッチに思える設定を見事にマッチさせた本作にまず敬礼。
驚くのはやはりフィット感と、特徴的だったのはセリフの間(人間)。これが唐突に喋りだしたり、会話する際も相手の言葉をさえぎって喋るような稚拙な物言いは、違和感を感じざるを得ない位。これは意図的にそう感じされるようにしたのかもしれない。人間の方もアンドロイドのように不自然に見せたかったのだろう。
本作は作画は勿論、音が際立っていた。ヒーリングサウンドで流れるような、透き通る効果音を始め、基本ゆったりした曲調は、人里離れた隠れ家でコーヒーを嗜んでるようなひと時に感じられた。
アンドロイドと言う道具にも心があるといった、引きから始まり、様々なエピソードを通して、語りかけてくるような匙加減によって、的確に、自然にメッセージを胸にヒットさせてくる。こんな感覚は始めてというのは大袈裟かもしれないが、それが本音。
終盤に入り、アンドロイドとの共存という近未来に起こりうる、リアルをよりリアルに感じさせつつ、香り気が残るような余韻あふれる、ファンタジーな演出を演出。そんなリアルとファンタジーの混ざり合い、ミスマッチをマッチ、させた完成度の高い作品だと感じる。アンドロイドと共存するが、こんな未来なら悪くない。そう思わせる、不安と興奮が混ざり合ったクリスマスイブのような作品。なんつってw