セレナーデ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
エッラソーなことと承知で言っちゃうけど
やっぱりいいですよ、これは。
アニポケ映画を語る上で本作がやたら傑作として持ち上げられることに、思い出補正や懐古主義の悪しき所業ではないかと懐疑的になりそうなところ、今となってこれを観ると、持ち上げられるのにはそれなりのワケがあるのだなーと改めて思いを馳せるばかりです。
明らかに気合の入れ方が違う。注がれてる熱量から違う。
謎めいた状況に視聴者をいきなり放り込む正攻法のツカミの手法しかり、テーマの示唆と次のシーンへのバトンタッチを鮮やかにこなすオープニングシークエンスしかり、ストーリーの流れにブレを与えないシナリオの芯の強さしかり、高揚と静寂のコントラストの利いたBGMコントロールしかり、会話シーンをただの会話シーンにさせない映像演出の小粋さしかり。
作りの粗がまったくないといえばウソになるけれども、一本の映画を上質なものに仕上げるために組み込まれた確かなテクニックやセンスってのがそこかしこに拝見できます。
そのときの製作の現場を知ってるわけではモチロンないので、我ながらエッラソーなことと承知で言っちゃうけど、これだけ確かな技術をまとった作品が、製作のモチベーションなしで実現できるはずがないだろうと。技術の存在は製作気力の存在の十分条件であろうと、そう思わざるをえないのです。近年のアニポケ映画と並べて見ちゃうとなおさら。
シリーズ初の劇場版でありキチンと映画フォーマットのロジックで仕上がっている本作を、ほとんどTV版のスタッフのままという製作コンディションで作りあげたことにも、いたく感心いたします。