しゅりー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:----
三谷かなえ先輩と過ごした次のひととせ
2013年夏に放送されたたまゆらシリーズの実質3期(TVアニメ2期)です。
2011年秋のTVアニメ「たまゆら~hitotose~」から
多少OVAなどをはさむことがありましたが
基本的に時系列順に進む穏やかで温かい物語です。
シリーズ未視聴の方は可能であれば2010年のOVA「たまゆら」と
TVアニメ「たまゆら~hitotose~」を先にご覧ください。
さて、本作「たまゆら~もあぐれっしぶ~」の最大の特徴は
楓の一年先輩で、楓と同じく写真を愛する
三谷かなえ先輩(CV茅野愛衣さん)の存在です。
新キャラクターが登場する時は後輩だろうと考えていたので
最初は戸惑い、というよりは不思議な気持ちを抱いて観ていたのですが、
段々と先輩が必要であった理由がわかっていきました。
決してかなえ先輩が毎回必ず重要な役回りをするわけではないのですが、
1年先輩であるかなえ先輩と出会い過ごす日々はいずれ訪れる
卒業による別離を作品全体に匂わせています。
今までに登場してきたキャラクターの将来に向けた気持ちや
楓のお父さんを知る人々から語られたお父さんの想い出、
汐入のちひろちゃんと交わした約束についてのお話。
そういった過去と未来を感じさせる物語に説得力を与えるために
あえて一緒に過ごせる時間に限りがある
先輩という存在が必要だったのかと思います。
あとはかなえ先輩本人が割と楓に似て芯はしっかりしているけど
一見引っ込み思案な雰囲気なので、先輩だからといって
固いイメージを持たず、等身大のキャラクターとして見れた感はあります。
私事ですが、最近高校2年生、高校3年生の話を聞く機会がありました。
12月から1月あたりの受験時期の2年生、3年生の話す将来の話は
見ている現実の違いからかだいぶ印象が違って聞こえました。
後輩が受験を終えた時に先輩と出会うならばどんな話をするのだろうと
考えた時に最終話で流れた千菅春香さんの歌う「最後の春休み」を
思い出したのが、今回レビューを書くきっかけになりました。
花火や憧憬の路などの印象的な風景とそこで描かれる物語、
現状あまり聴く機会がなくなった中島愛さんのEDや挿入歌など、
語りたいことはたくさんあるのですが、そこはご興味があれば本編を
ご視聴いただければと思います。
「たまゆら~hitotose~」のレビューの際も書きましたが、
緩やかな日常を描くアニメなので、人によって向き不向きはありますが、
進路や将来、仕事などに不安があるときなどは
良い刺激になるアニメかもしれません。
視聴済みの方も2014年4月以降展開される「たまゆら~卒業写真~」までに
もう一度観てみてはいかがでしょうか。