JINX さんの感想・評価

2.2
物語 : 1.0 作画 : 2.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 1.0 状態：観終わった

前代未聞の作品

多くの人が待ち望んだ（？）艦これ・アニメ版。ゲームのプレイヤーでもある僕自身は正直それほど期待していませんでした。原作からして不明瞭な設定・PVでのあまりにもシュールすぎる水上スキーの戦闘シーンなどの要素もあって、せいぜい60～70点程度が精一杯の作品だろうと予想していました。

ですが、僕のそんな予想は大き覆されることになりました。なんとこのアニメ、これまで僕が見てきた作品の中でも最低・最悪のレベルというとんでもない代物でした。

簡単に寸評を述べますと、

物語：酷い出来。話の前後に繋がりが見当たらない回が多く、何がやりたいのかさっぱり分からず。ギャグがやりたいのか？シリアスがやりたいのか？最後までその方針は分からずじまいでした。一話から申し訳程度の戦闘を備えたキャラ萌えアニメにするのかと思えば、唐突に三話で如月を轟沈させる。続く四話では金剛たちのギャグ回。全くありませんよね、繋がりが。

声優：普通。大坪さんの演技はあまり好きじゃないけど、東山さんの演じ分けはすごいと思いました。ただ、声優が優秀でもどうにもできないのがこの作品です。

キャラ：結局、最後まで一人にも魅力を全く感じず見終わりました。そもそもキャラの掘り下げが全く出来ていないので、論ずるに値しません。せいぜい掘り下げらしいものがあったのは吹雪、睦月、大和、赤城ぐらいでしょう。その四人も大した心情描写もなく、この物語はただ単に「吹雪を活躍させるための出来レース」と感じました。何より問題なのが提督という存在の曖昧さ。居るはずなのに、視聴者側からは全くどういった人物であるか、どのような行動原理を持っているのか、などがわからない。顔も出さずに一度唐突に殺されるこの人物が唯一された心情描写が「吹雪を夢で見たから重宝した」。ハイ、気持ち悪いですね。川内姉妹、金剛以外の金剛型などもほとんど空気のような存在で、後半は背景に居るモブキャラと大して変わらない扱いでした。OPに出てる球磨・多摩も、これといった見せ場なし。大井と北上の週間レズ劇場はただただ不快で場違い。本当にいいところが見当たらないのが凄いですね。

作画：日常描写での作画は安定していて、バラバラの絵柄を統一できたことは素直に評価できると思います。ただ、致命的なのが戦闘シーンでのチープな3Dモデル。あんなポリゴン顔で水上スキーされたら、シリアスなシーンもシュールギャグになってしまいますよ。戦闘シーンの動きもほとんどなく、棒立ちで発砲する姿はとてもですが「かっこいい」とは言えません。

音楽：OPの曲はいいと思います。EDは歌詞を詰め込みすぎという印象ですが、曲調自体は好きです。BGMも、総合的に言えば平均的な出来だったので、この点数にしました。

もちろん、これ以外にも多くの不満点はあります。「改」描写のいい加減さ、如月の不憫さ、ラスボスであるヲ級の撃破を丸ごとカットする暴挙、などなど…ですが、これ以上述べ続けてもキリがないので、気になるのであれば見る価値はあると思いますよ。粗が面白い様に見つかるので、そういう意味では楽しめる作品でしょう。