セレナーデ さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
もうちょっとアタフタしてくれても
NHKアニメということを忘れて言いますけど。
登場人物たちのこのあまりのたくましさには、ちょっとついていけないですね。バーチャル世界に幽閉されているのに、事態の異常性に危機感を覚えるわけでもなければ、現実の世界に戻りたいという焦燥や郷愁に駆られるわけでもない。それどころか現実世界での経験と英知を駆使してゲーム世界内でめきめきと建国までしてる始末。
皆が皆、状況に対してメンタルが健康すぎ。
別に風紀改正やら外交やらに勤しむこと自体は全然いいんですよ。無秩序の状態を問題視するのは至極当然だし、そこから秩序や社会の形成に取り掛かることも真っ当な流れと思います。
思うんですが、治安を維持するにしても国家を立ち上げるにしても、「それらは本望ではなくあくまで一時的な対応、寄り道であって、ちゃんとゲーム世界からの脱出という本題も頭の片隅で意識していますよー」という描写を少しも発信してくれないもんだから、こいつらホントに現実世界に帰還する気あるのかと見てて不安になってくるんですよ。ゲーム世界に永住する気なんじゃないかとひやひやした気持ちになってしまいます。
ここまでたくましく描かれると、ある意味でえらく感覚がズレてるっちゅーか、本当に廃人っぽい。ていうかなんか怖い。どこか非人間的で。冷ややかで。なにかが欠落してる感じすらして。
幽閉されてるんだったら、やっぱそれ相応の必死さが欲しい。苛立ちが欲しい。状況に対して少しくらいストレスを感じて欲しい。アカツキちゃん、主人公に向かって「忍としてあなたを主君と仰ごう」とかそんなキャラ作ってる場合じゃないでしょ。この際、もうちょっと素になってアタフタしてくれてもいいんじゃないか。
そもそも、{netabare}NPCに人格{/netabare}が存在していることが判明したとき、ゲームシステムの不可解さに誰も疑問視しなかったところを見てると、この作品ってゲーム世界を舞台にする必要あるのか、と身も蓋もない疑問を抱いちゃったりもして。普通に異世界ものでよくね?ていう。
途中であった「けいざいげんりのおべんきょう」的なシナリオも、舞台になにか説得力を与えていたようにも思えないしなあ。
そういう意味でも、いまいちノレない作品でした。
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ちなみに1期はなんとか完走したんですが、結局2期の4話くらいで断念してしまいました。1期でもなんとなくそんな毛色はあったんですが、見せ場であるはずの戦闘シーンをそりゃ堂々とナレーションで処理する芸のない演出にはさすがにガックシ。上あごと下あごのぶつかり放題で面白くなりゃ誰もアニメなんて観んわーいってなもんで、あぁもういいかな、と。
あとなんだろう。危機的な状況で胸キュン女子やカップルをやたら量産するお気楽なシナリオに軽く辟易していたところに、ついにはアカツキちゃんまでも本格的に恋のメランコリー状態に突入したことも、視聴断念の決意を後押しした形に。