ペッチー さんの感想・評価

4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

上々の出来、ファンは必見

1期スタッフ陣が仕上げただけあってなかなかの見応え。
＜物語＞
ストーリ展開に無理がなく、展開もテンポ感があり飽きさせることがないつくり
＜作画＞
テレビシリーズではなぜか崩壊気味になるI.G.だがやはり劇場版だけあって作画も見事。気になるところがないわけではないが、それでも全体のクオリティはかなり高い。戦闘シーンはさすがI.G.というべきか迫力があり緊迫感が伝わってくる。
＜キャラ＞
とにかくかっこいい。キャラの特徴を活かした活躍がそれぞれにあって魅力が引き出されていた。

脚本が深見・虚淵コンビに戻って、やはりpsycho-passにはこの二人だなと感じた。違和感を感じさせない程度のペダンティックさが戻ったのはやはり、深見真の力が大きいだろう。虚淵脚本の魅力ともいえる「価値観の逆転」は今作でもしっかりと見られる。また、エンドロール前の狡噛のセリフの語尾が「かもしれない」であるところに妙がある。朱たちの捜査が一応の成功に終わった一方で、朱の考える方法ではあの国は救われないかもしれない、何も変わらないかも、もっと悪くなるかもしれない。それを暗に含んでいるのだろうかと思っていたら、エンドロール後のラストカットだ。結局、見かけ上何も変えることが出来なかった。しかし、何かは変ったのかもしれない。勧善懲悪の大団円ではなく、無力と希望を示しながら未来性を包含する方法を虚淵玄はとったのではないかと思う。

あとは適当に思ったこと
・攻殻やパトレイバーへのオマージュが露骨になっていた(笑)
　兵器も設定もそうだし、あの川と船とを写したワンカットもイノセンスを意識したのかと思ったけどどうだろう
・ニコラス＝ウォンはただの小物悪役ではないと思う。
　最期、死ぬ間際の「何も知らないくせに」というセリフ。あれが嘘から出た言葉とは思えない。善・悪を一面的に押し付けない虚淵らしい描写なのかな
・狡噛の「ポストコロニアルかぶれの」というセリフ。コンラッド好き？の狡噛としてはポスコロはお嫌い？
・最後の最後で宜野座の「どういうことだ？」　狙ってるだろ
・作品の立ち位置というか方向性を考えると攻殻におけるSSSと似てるような気がする　


とにかく円盤を買って、何度も細かく見ていきたい。