「サムライフラメンコ(TVアニメ動画)」

総合得点
62.8
感想・評価
691
棚に入れた
3558
ランキング
4704
★★★★☆ 3.3 (691)
物語
3.1
作画
3.2
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.4

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ヒーローというもの

 一言で言ってしまうと「ダメな作品」で、ツッコミのためのネタ的要素は別として、回りも
低評価をする人が多かったみたい。
 ただ、個人的には「駄作」は展開、演出、構成のまずさで伝えたいものがちゃんと
伝えられない作品といった感覚が強く、それに対してこの作品はコンセプトの段階で既に狂って
いる感があり、その狂った状態はちゃんと作品に現されている。
 駄作と言って切って捨てるには忍びない何かがあり、怪作と言った方がいいような作品。

 序盤はヒーローに憧れる羽佐間 正義と後藤 英徳の出会いから、サムライフラメンコとしての
活動を通じて、要 丈治、真野 まりを始めとするミネミラ、原塚 淳といった面々が集ってくる
過程が楽しいが、ちょっとおかしい羽佐間の回りに集う連中もやはりおかしな人が多く、唯一
まともな人といった印象の後藤がツッコミ役として機能している感じ。
 またサムライフラメンコ・コミュニティ?とは別口で、今野 明と石原 澄の口説き口説かれの
やり取りも楽しい。

 このまま行けば、ヒーローに憧れる青年の社会悪と戦うヒューマンドラマとして佳作的作品に
なり得たのかもしれないが、中盤より突然本物の怪人であるギロチンゴリラが登場。内容的にも
警察官が次々と首を切断されると、これまでにない残虐なものに。
 それまで見せていた作品の世界観やテイストを途中でいきなり変えるような展開は
インパクトはあるがリスクが高いやり方で、うまく行けば作品の印象度は一気に高まる
だろうが、逆に視聴者を混乱・落胆させることもある。
 まどマギの3話などは成功した例ではないかと思うが、この作品はどうやら後者だった
みたい。特にギロチンゴリラ以降の怪人は比較的コミカルな展開だっただけに余計にこの回は
浮いた感じがあった。

 ここからは昭和の仮面ライダーのような怪人を倒していく展開になるが、作品としては迷走
している感があった。
 ただ現実の事件を皮肉ったようなマンネリ化による世間の関心が薄くなっていく過程、
キング・トーチャーの悪の理念、羽佐間とまりのヒーローとしての覚悟の違いなど、個々の
要素は悪くなかったりする。
 まりがボロボロの状態でステージに上がるシーンなど、ヒーローとしての覚悟は
足りなかったのかもしれないが、プロのアイドルとしての覚悟はなかなかカッコ良かった。

 以後は戦隊ものになるわ、アメコミヒーローが出てくるわ、政府の陰謀があって、アーマーを
装着した総理大臣が敵キャラになるわ、宇宙人に対して巨大化して戦うなど、超展開は
エスカレートするばかり。
 バトルものにおいて、展開がインフレ化していくことはよくあるが、傘の置き引きを
追っかけていた主人公が、宇宙の意思と出会うような作品はそうあるものではない。

 最終編では第1話に登場していた澤田 灰司という一中学生がラスボスという意外な展開に
なるが、広げるだけ広げた展開を収める際に最終問題を身近なところに見つけるという
「青い鳥」的プロットは他作品でもよく見られるもので、これはこれでありかなと思う。それに
しても随分長い前振りだった。
 ここでは同じく長い前振りだった後藤のメールの真相も判明するが、それまでまともな人と
いう印象だった後藤が一番異常だったという展開はなかなか面白い。
 最終的には澤田の処遇を巡って、羽佐間と後藤が対峙する形になるが、思えば羽佐間の
立ち位置こそ次々と変わっても、後藤の羽佐間に対する見方は純粋で素直なヒーロー馬鹿という
点では終始変わっておらず、それゆえに羽佐間の説得が効を奏したのだと思える。

 結局、この作品は何を見せたかったのか?。
 単なるヒーローもののパロディとは思えず、むしろパロディとしてはレベルが低い感じ。
 あえて擁護的に捉えると、色々な切り口でヒーローというものを考えてみようとしたのかも
しれないが、やはりトータル的には迷走していたと言わざる負えない。
 これを書いている時点でふと思ったが、当初ヒューマンドラマとしての1クール作品
だったのが、諸事情で2クールに変更になり、無理矢理超展開をねじ込んだのかな?。

投稿 : 2015/01/26
閲覧 : 364
サンキュー:

5

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