karinchaco さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
死者たちに支配される恐怖。集団となって狂暴化する人間の恐怖の対比がすごい。
小野不由美さん原作小説のアニメ化。
人口1300人の閉鎖的な村で起きる、悲しくてつらい物語です。舞台となった外場村ですが感覚的にはもっと小さい村に見えますね。
原作がしっかりしているということもあるとは思いますが、設定がよく出来ています。屍鬼と起き上がりの違い。閉鎖的な村の因習。村を嫌い一刻も早く都会に出ようとする若者。など、細部にわたって練りこまれており、また、よく描かれていると思います。特に、尾崎先生が起き上がりになってしまった自分の妻に対し、その特性を見抜くために様々な実験をする場面などは圧巻です。ファンタジーなのにも関わらず、妙にリアルなので物語に引き込まれます。
物語の前半は、何気ない農村の日常から死者に支配され始める恐怖を、後半は前述した尾崎医師の実験から起き上がりの特性をつかみ生者が反撃する様子を描いています。特に終盤、生者が屍鬼狩りを始めるシーンは、集団となってヒステリーを起こし狂暴化する生者たちの恐怖を表現していると思います。この二つの恐怖の対比が上手になされていると思いました。
作品のテーマがテーマなのでグロシーンも少なくないですが、名作の一つに数えてもいい作品だと思います。