ワタ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ターニングポイントは第16話 ※追記:櫛枝実乃梨の心情考察
1話冒頭の竜児と大河、交互に語られるモノローグ演出で一気に引き込まれた。
最終回のラストで同じモノローグをかぶせてくる展開もベタだけどグッと来る。
この作品は基本的に皆いい奴で、誰もが誰かのためを思って行動している。
しかしその行動(優しさ)は時として人を傷つけてしまうことにもなる。
この傾向は顕著に表れるのは、第16話「踏み出す一歩」以降の展開から。
そしてこの回以降、抑えていた本音を吐き出しぶつけ合う、
若さ故の非常に熱量のこもった展開に釘付けにされた。
「間違っているのか分からない。分かるのはただ、この足は止まらないということだけ」
16話の大河の台詞が象徴している。止まらなくていいんです。
この大河の行動により会長から本音を引き出し、それを聞いた北村は踏ん切りをつけることができた。
この一連のシーン、個人的にとらドラで一番好きです。
作画の勢い・声優の熱演・BGMも素晴らしく、切なくも熱い、感動的な場面を見事に演出している。
このシーンはある意味本作のターニングポイントになっている。
ただの萌えアニメから明確に脱却したシーンであり、この回以降にこそ本作の真髄が見られると思う。
逆に前半のノリが好きな人は、後半の展開は受けつけない部分も多いのではないかと。
・櫛枝実乃梨の心情考察
みのりんっていつから竜児の事が好きだったんでしょうね?
別荘回(幽霊の話をするシーンから)が定説ですが、実はそれよりもっと前、
第1話以前から竜児のことが気になっていたんじゃないでしょうか。
注目すべきは第3話。この回は本編唯一のアニメオリジナルエピソードで、
櫛枝実乃梨というキャラを掘り下げています。
「ピッチャーびびってる~ ヘイヘイヘイ!」
「もしかして、ホントにびびってる?」
竜児とみのりんが蔵に閉じ込められた後、気丈な振る舞いを見せるみのりんに対して
竜児の言った台詞。みのりんの手は震えていました。
みのりんの過剰なまでの明るさや強気は、本音を隠すためのものであることが分かります。
そして第2話のジャンピング土下座のシーンなんですが、
土下座してるみのりんの体全体が震えています。たんに肌寒かったから?いやいや・・・
台詞だけを見れば、竜児に親友である大河を託す、親友思いなみのりんというシーンですが
震え=本音を隠している、と見るならば、自らの恋路を諦めた切ないシーンとも取れる。
もはや考察というより、ただのこじつけ、妄想レベルなわけですがw
ただこの妄想を前提とするならば、24話冒頭のシーンがより切なさMAXで身悶えてしまいます。
竜児が大河を「追いかける」と言った後の、みのりんの苦虫を噛み潰したような表情。
「私は高須くんが、高須竜児が、好きだよ!好きだった・・・"ずっと"好きだった!」
そして、ジャイアントさらば→拳間接キスのシーン。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
本作はキャラの表情や仕草、台詞の真意など、深読みや考察できる要素が盛り沢山で
見返す度に新たな発見があって面白い。櫛枝実乃梨に関しては特に、です。
みのりんがイマイチ人気じゃないのは、心情面での分かり難さがあると思います。
逆に亜美なんかは分かりやすく容易に感情移入できるので、それが人気の一要因でしょうか。
原作を読めば色々補完できるけど、
過度な台詞やモノローグに頼らないアニメの演出はもっと評価されていいと思います。
キャラの一挙手一投足にきちんと心を研ぎ澄ませば、新たな理解や共感が得られたり
それまで見えていなかったものが見えてくるかもしれません。
アニメ版とらドラは、きっと、そういうふうにできている。