Lovin さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
観た感じ
■概要{netabare}
原作:ベサメムーチョ
監督:舛成孝二
脚本:倉田英之
キャラクタ原案:羽音たらく
キャラクタデザイン:千葉崇洋
制作:ブレインズ・ベース
話数:1クール全12話+TV未放送4話
聖地:広島県尾道市
OP:「晴れのちハレ!」
by 富田麻帆
ED:「アイスキャンディー」
by MAKO
{/netabare}
■感想
DVDを視聴。かみちゅの話。
ある夜突然何となく神様になる一橋ゆりえとそれを取り巻く友人や、彼女らの成長が中心に描かれる。
この作品はR.O.Dのスタッフが少なからず参加している。そして幾つかの挑戦的で実験のようなことが行われている。そのような作品には目に付くことが幾つかある。
先ず主人公を担当するMAKOの声だ。ハッキリ言うが、何か下手糞に感じるのだ。他の作品でそう感じたことは無いうえに決して棒ではないので敢えてそうしているのだと思うが、この作品に於いては何か下手糞だと感じてしまう。そして聴き慣れてくると「味」として受け止めることが出来なくもない。
次にキャラの口元、というより唇や歯が声優の声に合わせて動く。ン十年前に観たニュースだか何かの特集で画期的な技術だと紹介されていた。古い作品では金魚のように口をパクパク、酷ければ開いたままなんてことも少なくないし、近年の作品でもあそこまで描写を追求した作品は余り見かけないが、この作品ではかなり繊細に動いている。
そして、文字だけで伝えられる自信は無いのでAAは誰かにお願いしたいが、俯いたり拗ねた際に見せる -u- (私にはこれが限界)という口元。描写自体はそれほど多くは無いが、ゆりえが友人や弟に甘える際にも見せる仕草だ。現実世界で言うならばアヒル口に当たるのかもしれない。少ないとは言え印象に残ると思う。
物語としては、この作品の主人公は神様である、と言うことを相当強く念頭においておかないと、第1話から展開についていけないシーンがある、と思う。少なくとも私は、それを理解するのに10秒程度の時間を要した。
広島県の尾道市が舞台で、通学には橋を渡ったりフェリーを使ったりと平和で長閑、坂の上から見下ろす瀬戸内海の風景が雄大で印象的だ。時代設定はわからないが、お年玉として貰った五千円札には聖徳太子が描かれていて、大林宣彦の尾道三部作が思い浮かぶようなノスタルジーが感じられてとてもよい雰囲気だ。
展開についていけないと言えば、ゆりえの友人について触れておきたい。
先ずゆりえが神様になる以前からの友人だった四条光恵。落ち着いた性格で、ゆりえが神様になった後でも態度は変わらない様子。常に潤いを求めながらも遂に最終話まで手に入することは出来ない。更に毎回不本意な言動を強いられる不幸を背負いながらも、クライマックスでの活躍は賞賛に値する。
そしてゆりえが神様になったことを理由にゆりえに近づく三枝祀。「宿題忘れて立たされた貴方は昨日とは違う、神々しさに満ちていたわ。」などと言葉巧みにゆりえに近づくのにはそれなりの理由があるのだが、目標は明確だったものの手段は行き当たりばったりだった。妙に行動力が逞しく、毎回皆をついていけない展開に巻き込む。なお、昼休みに彼女が食べる弁当が特徴的なのにも理由がある。
そんな二人だが、中学生として過ごしていくゆりえにとって大切な友人であり、神様として奔走するゆりえをサポートする立場として、二人の存在を外すことはできないだろう。
OPはハーモニカっぽい音色から始まる、これもノスタルジーを感じさせる要因と思われる良曲で、EDはMAKOが唄う少しコミカルな映像で印象的だ。因みに原作のベサメムーチョとは、メキシコ発祥の楽曲や桂銀淑の楽曲ではなく、ブラックと名高い某制作会社代表の落越友則、監督の舛成孝二、脚本の倉田英之三人の合同ペンネーム、とWikipediaにある。
私はDVDを観たのでTV未放送の4話を含む全16話だと思っていたが、TV放送でのみ視聴された方は気付いていない可能性もある。何れも平和で長閑な話なので是非にとも思わないが、生き生きとした片田舎の中学生が描かれているこの作品を私は気に入っており、16話連続で観て頂いて伝わる何かがあると信じている。
■蛇足{netabare}
艦これで描かれるまでも無く、
大和は少し茶目っ気がある。
{/netabare}