Lovin さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
観た感じ
■概要{netabare}
原作:武田日向(「ドラゴンエイジ」連載)
監督:安田賢司
シリーズ構成:佐藤順一
キャラクタデザイン:井上英紀
制作:SATELIGHT
話数:1クール全12話
OP;「世界は踊るよ、君と。」
by 羊毛とおはな
OP;「ここからはじまる物語」
by 湯音(東山奈央)
{/netabare}
■感想
原作漫画は未読でレンタルDVDを視聴。カルチャーギャップに敢然と立ち向かう話。
時代は19世紀末、フランスのギャルリ・ド・ロワの看板屋を奉公先として選んだ、13歳の少女湯音(ゆね)が主人公。湯音が体験する日本とは違う習慣や文化、そして人との交わりを描いた異文化交流作品。
この作品は雰囲気が凄く良い。フランス人と思しきスタッフが美術設定を担当していたり、OPヤEDも作風に合っている。そういう意味では、行ったこともないヴェネツィアの雰囲気を感じるARIAにも少し似ている。
異国の商店街に於いて、湯音が一際小さく見えるように感じてしまうが、幼さの残る年齢や、当時の日本人は小さかったことなどを考慮すれば、誇張しているわけではないと思う。ただ、湯音はそれなりの家の生まれなのかもしれないが、奉公の身でありながら着衣がいつも振袖というのは如何なものか、とは思ってしまう。
この湯音というキャラについて、西洋には余り感じない義理を重んじる所や、芯の強さ(頑固なところ)が特徴的で凄く魅力的だ。そんなキャラを東山奈央が好演しており、湯音に対するとても良い印象が持てる。
この作品も以前から観たいと思っていた作品だが、このような爽やかさのある作品だと想像していなかった。湯音の姉である汐音(しおね)の話や、看板屋の主人であるクロードの父の話は、それぞれのトラウマになっており若干の暗さはあるが、作品的には知らないものに触れる湯音の反応や周囲の暖かさで払拭できていると思う。
周囲と言えば、意外な印象のあるキャラについて語っておきたい。それは、クロードがギャルリの敵とするグラン・マガザン(百貨店)経営者の次女、アリスである。こういうキャラは大抵がウザいだけの筈なのだが、日本通を自称(本当は何も知らない)するだけあり、ウザがありつつ湯音に対する態度が迷惑なくらい暖かい。異国の地に一人居る湯音に感情移入していれば、作中での彼女は非常に安心できる存在だ。更に彼女の執事であるエドガールも、仕事が良く出来るであろうという想像は、少ない描写からも理解できる。
この作品は、良い終わり方をしているが、物語としては序章であると思う。すっかりギャルリに馴染む湯音ではあるが、この物語が持つ魅力はこんなものではない筈だ。久々に原作に手を出してみたい作品に出会った気がする。方向性はARIAとは少し違うものの、癒されたいと思っている現代人にはお奨めしたい。
■蛇足{netabare}
それまでバリバリと監督をしていたサトジュンが、
シリーズ構成というのは珍しかった。
{/netabare}