無心 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
とうとう観てしまった私にとっての禁断アニメ
アニメの世界では妹萌え、兄妹愛を描いた作品がいくつかある。自分にはとても理解出来ない遠い世界のお話だ。
考えてもみてほしい。血の繋がった兄を、または妹を、愛の対象に出来るものなのか。実に気持ちが悪い。アーーーと同じくらいには気持ち悪い。
(偏見ですいません…)
兄妹がイチャコラしたところで一体誰が得をするのか。確実に親は泣く。
こんな現実的な自分には本来縁のないアニメだが、観てみたら意外とこれが面白い。
どこにでもいる平凡な兄が、成績優秀で容姿端麗でモデルまでこなす才色兼備な妹から、「人生相談があるの」というところから物語は始まる。
そんな妹に振り回される形で、辟易しながらも妹の悩みに向き合い、時には身体をはって妹を守ったりする、とてもいいお兄ちゃんである。途中2人がラブホに入ったシーンからは、だんだんと雲行きが怪しくなってきたなどとわずかに警戒もしたが、特に変なことにもならず、後半はほんの少し感動した。
【 桐乃 】
なまじ世間の評判がいいだけに、エロゲというオタク趣味を周囲に隠していた桐乃。この妹、ちょっと趣味でやってますなんてレベルじゃなく、中毒の域である。
暴力的で生意気なツンデレキャラは嫌いなのだが、桐乃がやけに可愛く見えた。桐乃はすごく素直なのだ。ツンデレだから本音はなかなか明かさないが、隠しきれていない。
グッズを押入れに隠し、オタク趣味を誰にも話せず、でも誰かと共有したいと思っていたり、初めてのオフ会で周囲に溶け込めずシュンとなってしまったり、小説の打ち合わせの際も自分の意見が通らず落ち込んでしまう。
普段の兄に対しての傲慢な態度からは想像出来ないほどいじらしい。大好きなエロゲを兄に強要するところなどは、この作者、もしかしてどこからか私のことを見ていた?と思った。好きな作品ってどうしてもそうなっちゃうよね。
桐乃がアメリカに留学するとなったシーン。
京介に対し、「引き止めてやれよ。血の繋がりなんてこの際関係ない。」なんて思ってしまった。それだけ兄を想う桐乃に感情移入してしまったのかも。もう自分でも訳が分からない。
【 黒猫 】
桐乃がアメリカに行ってからのラスト3話くらいで印象が変わった子。
桐乃とオタクのオフ会を通じて知り合うが、彼女もそうとう我が強く、我が道を行くタイプである。おまけに劣等感が強く、辛口、時に辛辣ですらある。
最終話、京介を呼び出すシーンは必見モノ。報告と言って、初めて素直な思いを打ち明ける。
「妹の代わりじゃなくお前のことが心配だと言ってもらえて嬉しかった。」
中略
「田村先輩との時間を削ってまで一緒にいてくれて、私は嬉しかったわ。」
じーん…( ꈨຶ ˙̫̮ ꈨຶ )
そんなに京介のことが好きなのに、それでも桐乃の元へと送り出す黒猫がなんとも健気な…。報われて欲しかった。
【 京介 】
そうとうに強い偏見を持っていたが、思っていたよりまともな感覚をもっている人という感じ。
桐乃のためにオタ友を探してくれたり、父やあやせ達と仲違いをしても妹を守り、桐乃の小説にかける情熱を誰よりも理解し、桐乃のために頭を下げてくれる、理想的な兄だ。そういったところに脆さのある自分には畏敬の存在にうつる。
ところがこの兄、桐乃だけでなく誰に対しても優しいのが気にかかってしまった。特に黒猫への「お前のことが心配だ」発言。
優しさなのは分かるが、うーん…。自分にはただの助平根性にしか見えず…。やはりハーレム主人公は苦手である。
【 最後に 】
この作品にはタブーがある。
まず兄妹愛である。一つのジャンルとしても定着しているし、需要があるからこのような作品が生まれたのだろうが、自分のように拒絶反応を起こす人間も一部いる。それでも、桐乃が京介を好きになることに一応の説得力があり、とても入りやすかった。ただただすごいと思った。
二つ目にオタクについてである。
やはりオタクには偏見がつきものであるが、あやせや京介達の父のように一般人として当然思うであろう偏見をリアルに描いてあり、オタク向けに作られているのにアンチ側の立場もちゃんとあるので、オタク側の桐乃、アンチ側の父やあやせ、どちらの考えにも共感出来る部分があった。
こういったところも評価したい。