退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ミギーの言葉が成長してゆく
観はじめは、原作に比べて明るく細くひょうひょうとした印象でした。
(原作、途中まで読んであとはボンヤリ)
観進めるうちに細い印象が地味に耐え抜いている感じに見えてきて、作品性と合っているなと馴染みました。
人間らしさを意識して捉えなければ、自分が何者かわからなくなりそうな主人公の、目を凝らすような必死さ。強くなるために抜け落ちたものを拾って抱えて、走るけれども。
「何を言っているんだ?」としげしげと、寄生生物から見ると合理性に欠ける人間の有様を観察していたミギー。
本やネットの勉強のおかげか、
「来たぞ。弁当持参だ。」(寄生生物が食べるための人間と一緒に来た)、
「馬の差で勝つな。」(寄生生物がついている人間の能力差を見て)
なんて、言い回しが上手になって。
何年か前、殺人を犯した青年が逃走していて、少ない持ち物の中に「寄生獣」のコミックを所持していたとか報道されていたような…。味方がいない感覚にぴったりだったんですかね。
どんな事件だったのか検索したけれど、世の中事件に溢れていて見当たりませんでした。
ミギーと再会できる23話は泣けました。
クリッと主人公の目が光って潤む時に何とも。
そしてその後、二種類の結末に向かうルートの選択が提示されていたように見えました。
(人間を主役とは考えず、地球の大きなバランスの中で寄生生物の担う役割を尊重し、フィフティフィフティの可能性にかけるルートと、地球のためではない人間のためでもない、ただ身内や周囲の守りたい人々のために、目の前の寄生生物の芽を摘むルート。)
呼応するように24話では、地球のため人間の代表として人殺しをしてやるかのようなヒトの殺人鬼が再登場することで、結末が分厚くなっていたと思います。
ミギーの残した「人間は心に暇のある生き物だから」、という言葉が印象ぶかく。考えさせられる言葉は色々ありました。
最後まで観てみて、グロテスクな写実描写はさほど痛々しくなく、心に痛むような別れの描写の数々のほうが優っていたと思います。先に書いたような、なぜなのかという思慮がめぐらされていたので、スリルだけに頼らず観られる作品になっていました。満足です。
難を言えば、オープニングの歌があまり好きになれず、失礼ながら飛ばしていました…。エンディングの緊張が緩むような歌や、予告のブァーと滲むような不吉な音楽は良かったです。