学円 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
宿命に導かれた二人の哀しい物語
怨霊や妖怪が蝕む世界でそれを退治する秘密機関「超自然災害対策室」。
ここに所属する退魔師、諫山黄泉(いさやま よみ)と
土宮神楽(つちみや かぐら)を中心としたお話です。
宿命に翻弄されながらもそれを背負うことを選び、
{netabare}人の世に死の穢れを撒く者を退治する退魔師としての使命を全うする二人。
しかし、時として怨霊は人間をも怨霊ならしめる。
この物語の中においてはとても大きな意味合いを持つことになります。
キャッチコピーの言葉、「愛するものを、愛を信じて殺せるか」。
ということにも繋がっていくわけですが…。
憎しみや悲しみが人を間違った方向へ導くというのは、
事の大小は異っても身近に起こっていることだと思うのです。{/netabare}
一番好きなシーンは、
{netabare}第8話『復讐行方』での諫山黄泉と怨霊と化した諫山冥(めい)が戦うシーンです。
冥によって最愛の父を殺されたことを冥本人から告げられた時、
黄泉は憎しみによって一瞬「怨霊」となった(と思われます)。
憎しみ合うもの同士の殺し合い。
死に際、一瞬意識を取り戻し、命乞いする冥を黄泉は殺めてしまう。
広義に解釈すると同じ民族、同じ宗教同士の戦争と同じ構図ですよね。
黄泉はこの時、仮初にも憎しみによって殺めたことを後に後悔することになります。{/netabare}
ラストのシーンも好きですが、
このシーンが一番印象に残っています。
ちなみにこの時の挿入歌として使用されている妖精帝國の『霊喰い』も良いです。
ところで、多くの方が指摘しているように、
このアニメはちょっと変わった構成になっているために、
少し分かりづらいところがせっかくの名作を「隠して」しまっているように感じます。
そのため1話めで判断してしまうと大変惜しいことになります。
私自身も最初は1話で断念していました。
{netabare}時系列では3話が最初ということになりますので、
閲覧を進めるうちに1・2話の意味が分かっていくという
仕掛けですが、やはり1話めはとても重要なので
この物語の持つ独特の世界観を表現するような演出をした方が
より視聴者に分かりやすかったのではないかと思います。{/netabare}
茅原美里さんのオープニング主題歌『Paradise Lost』も良いですね。
この方の歌声はとても好きです。