plm さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
不思議な円盤の来る町
新設立されたアニメ制作会社「Studio 3Hz」が手がけるオリジナルアニメ。
北海道の洞爺湖をモデルにした架空の街「霧弥湖」を舞台とする少し不思議な青春ストーリー。
今作の見所はなんといっても背景の美しさ、キャラデザの可愛さ!
登場人物の少女たちの、中でも特にノエルの挙動の可愛さは筆舌尽くし難し。
青春モノらしく若さ故のすれ違いでギスギスした展開が続くこともあれど、
いつも明るく前向きなノエルと、自然の風景がどこか清らかな気持ちにしてくれた。
■かつての友との再会は、軋轢と共に
{netabare} 昔の友との不和から始まり、険悪な雰囲気に苛まれる物語の序盤。
不和といえど主人公の落ち度が理解できず、理不尽な仕打ちを受けているようにしか見えない状態。
しかし本作主人公の乃々香さんが最初からかなりの鋼メンタルで、これに屈しないので、
当たりの強い他キャラ(主に柚季)が子供っぽく拗ねてるだけのように見えないこともなかった。
キャラクター紹介を見ると、乃々香はやや人に流されやすいところがあるなんて書かれているけれど、
とんでもない、芯が強くて父子家庭で家事も率先している描写もあってか、かなり大人びて見えた。
こはると湊太もまともに話の通じる良識人だったことだし、ノエルは天使のようだし、
やはり問題となっていたのはだいたい柚季か汐音のせいだったり。
でもなんでもないときは柚季もかわいくて、汐音は頼りになるって感じの見せ場があって、
結局のところみんな違ってみんな良いんですわな。{/netabare}
■小っこい大天使ノエル
{netabare} 登場人物の中でも不思議な少女ノエルは、献身的で慈愛に満ちていて、
どこまでも邪気のない明るさと優しさに満ちていたまじ天使だった。
最初から最後まで作品の癒しのシンボル的ポジションを崩さず、屈託のない笑顔を届けてくれた。
ただ、それ故に心情的に深みがあったかというと微妙かもしれない。
ノエルはただ皆の願いを叶えるため、ある意味機械的に事を成しているとも感じられ、
やはり超常的存在という感じがするのだ。
住む世界の違う、前提の違う相手と仲良くやっていきたいと思うなら、
その相手のことをよく知る必要があると思う。
しかしそういう描写はなく、なんとなく受け入れていることに少し違和感があった。
作中いろんな人物がノエルと行き会って、触れ合う描写は幾度かあるものの、
ノエルがどういう存在かを認識して、向き合っているのは乃々香くらいに思えた。
あくまで、ノエルは皆の仲を取り持つために現れたようなサポート役の存在という風であり、
問題の多くは乃々香自身や他の人物同士の衝突によって成されていたと思う。
なので、「皆でニッコリしたい」という願いをそれぞれが思いを持って叶えたことは納得だけど、
皆が「ノエルにまた会いたい」と願う理由付けは少し甘いように感じられた。
けど多少強引でも、お別れエンドよりみんな一緒エンドの方が良いと考えた結果なのかもしれないね。{/netabare}
☆まとめ☆
物語としてキャラを大事に描いていこうとする感じ、根幹テーマに温かみのある所は好感が持てた。
多少むりくりに思える展開でも、演出の良さでつい引き込まれてしまうオーラのある作品でもある。
EDの音楽と映像が躍動感溢れてて、インスピレーション!で弾ける感じが気持ちいい。
総じて映像の力が大きい作品だったんじゃないかと思う。Studio 3Hzには今後も期待だなあ。