「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス(アニメ映画)」

総合得点
78.2
感想・評価
1105
棚に入れた
6891
ランキング
569
★★★★★ 4.1 (1105)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

雷撃隊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

おかえりなさい、狡嚙さん

TV2期では不在だった咬嚙慎也が主人公に復帰。やはりサイコパスは彼の物語だ。今回彼は異国の地で「愛と正義の革命戦士」として活躍している。彼を追跡してきた1係と共に巨大な犯罪を暴く。刑事でなくなってもその刑事魂は健在だ。

今回はシビュラシステムの海外輸出とそれに関わる陰謀劇だ。内戦が続く東南アジアにあのシステムを導入したらどうなるか?という実験が行われる。結果は最悪だ。紛争地域では国民全てが「黒」であり粛清の対象となる。結局平和国日本ではそこそこ上手くいく法制度も海外では通用しない。法の矛盾ここにあり、である。現代もフィクションの未来も日本は飛び抜けて平和で逆に全世界的には非常識なのだろう。

咬嚙のポジションが面白い。槙島を射殺して逃亡した後、傭兵として東南アジアに流れ着いていた。その地で彼はカリスマに祭り上げられている。日本の警察においては優秀な刑事で部下を率いる立場にいたこともあり戦術にも長けている。さらに読書家でインテリ。日本では優秀とは言え特別ともいえない彼が教育水準の低い国ではリーダー格だ。朱によると槙島と似たものながら支配欲とは無縁なのが決定的な違い、とのこと。

朱、宜野座、咬嚙の微妙な友情も可笑く楽しい。「常守、あいつを俺のぶんまでぶん殴って来い」「ダメですよ、あたしが逮捕するんで直接殴ってやってください」とくる。で、結局3人で共闘だ。「朱、生き延びたらまた俺を捕まえに来い」咬嚙さん、あんた気障野郎だねー、朱ちゃんが恋する乙女になってるよ(笑)。

シリーズ通じて好きなキャラは宜野座さん。1期の序盤ではエリート志向で内面の敵かと思っていたら天才集団の中での凡人だ。壁にぶち当たり苦悩した挙句手痛い転落を味わう。でも人間的には成長する。TV2期では迷い無く活躍する。映画では咬嚙に向かって「俺は妥協を覚えたからな、これで勘弁してやる」と言い放つ。朱や咬嚙は凄い奴だと認めて自分の出来る範囲のことを精一杯やっている。この人、「まどか」でいうところの美樹さやかと同じポジションだ。さやかも転落の後全てを認めてバランスいい性格になった。同じ脚本家のカラーがよく出ている。

今回はR15だけどエロもなければグロもTVシリーズよりもソフトだ。脚本の「法の矛盾」や「社会批判」を子供に見せるな、ということか?
確かに小学生には理解不能なストーリーだろうけど中学生にはOKではなかろうか。今すぐ理解出来なくても数年後に面白さが分る、という類だろうから勿体無い。せめてPG12にしてほしかった。R15だと偏見持つ輩が増えるだろうし。

押井守のリスペクトよろしく「イノセンス」「パトレイバー2」を足したような印象だ。ヘリコプターVS歩行戦車とかセピア色の色彩感覚とか面影がある。本広克行氏は自分の作品を「押井守の追っかけ」と自認しているので出来がいい物真似だ。もちろん褒め言葉。音楽に喩えるなら「高い演奏技術のコピー・バンドによるカバー・アルバム」だろう。

かつての「まどか叛逆」のように何回か見返すと新たな発見があるタイプだと思うのでDVDが手に入ったら研究の価値がありそうだ。

投稿 : 2015/01/12
閲覧 : 410
サンキュー:

17

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