STONE さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
続編というより、外伝的雰囲気
時系列的にはテレビシリーズ2期の後だが、舞台をSEAUn(東南アジア)に移し、ほとんどが
同地における常守 朱と狡噛 慎也の行動の描写に終始しているため、外伝といった印象が強い。
1本の映画作品としてはうまくまとまっているが、世界観などの説明などは特に無く、テレビ
シリーズ(少なくとも1期)は視聴前提といった感じ。
このSEAUnが内戦状態にあるため戦闘描写が多く、テレビシリーズが刑事ものだったのに
対して、一種のミリタリーものといったところ。
この戦闘シーンは劇場版の見どころの一つといった感じで、テレビシリーズはIT系や
バイオ系のガゼットが近未来感を出していたのに対して、歩行型戦車や傭兵の武装など、
ウェポン系のガゼットが近未来感を感じさせてくれる。
もう一つ外伝的に思えたのが、1期におけるシビュラの正体や、2期におけるシビュラの判断
できる領域の問題など、テレビシリーズがシビュラの本質を問うたのに対して、本作は
シビュラを悪用した者による人間側が起こした一件というのも大きいかも。まあ、これも結局は
シビュラの手の平の上で踊らされていたわけだが。
朱は大衆の審判によりシビュラの肯否を決定付けられるようにしたが、その結果はシビュラ
導入に向かうようなところがなんとも皮肉。
多くのディストピアものが抑圧された大衆を描いて、作品内の社会が倒されるべきものという
説得力を持たせるの対して、シビュラシステムが導入された社会における大衆は幸福そう。
劇中で描かれた朱の友人の結婚の話などもその一つといった感じ。
逆に不満を持つ者もテレビシリーズにおいては登場したが、特に本作におけるSEAUnの
ような紛争地域の場合、全ての判断をシステムに委ねても暴力や貧困から解放される方がいいと
いう決断はある意味頷けるものがある。
この点が朱がシビュラの正体を知りつつも、積極的反対に向かえない理由なのかな。
朱以外の一係の出番があまり無かったのはちょっと寂しかったが、その分2期では朱の心象
表現でしか登場しなかった狡噛が目一杯出てきたのは嬉しい限り。