蒼い✨️ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
諸星あたるは、男でなければいけない。
アニメーション制作:キティ・フィルム、マジックバス
1988年2月6日に公開された劇場版第五弾。
高橋留美子による同名の漫画作品の最終巻である第34巻が原作です。
監督は、出崎哲。『めぞん一刻 完結篇』と同時上映です。
【概要/あらすじ】
120年前、ラムが生まれるよりずっと昔。
ラムの曾祖父は、やむを得ない事情があってウパという男と守る気のない約束をしてしまう。
『闇の世界』のルパ。ウパの孫でありラムの婚約者であるらしい。
ラムの曾祖父とウパの約束は有効であるとして、ルパはラムを嫁にするべく迎えに来たのだった。
ラムは諸星あたる一筋であるし、ラムの両親は約束は無効とみなしているのであるが。
詳細は略するが、諸星あたるとラムは仲違いをしてしまう。
男と女の意地の張り合い。作中では最大最後の大勝負が始まるのだった。
【感想】
TV版から一新されたOVA版スタッフが多く参加している、
原作の最終エピソード長編を90%以上忠実に再現した劇場アニメです。
原作ベースですので、あたるのキャラ付けも原作のままで、だらしない表情が減っています。
アニメではパーマというキャラに置き換えられた白井コースケが登場します。
それでいて、友引高校の校舎が原作の標準的な鉄筋コンクリートでなく、
アニメ版の時計塔がある木造モルタル2階建てであったり、
原作の初期キャラをベースとした、
メガネ、パーマ、チビ、カクガリのアニメ版独自キャラが登場していたりと、
実際のところは、原作版とアニメ版のチャンポンっぽいですが。
さて、この映画を観て思ったことを言います。
このアニメから伝わったこと、それは…!
ひどくめんどくさい女であるラムちゃんと一番相性良いのは、
負けず劣らずひねくれ者である、あたる君しかありえないということですね。
うる星やつらにはラムちゃんに惚れてる男性はたくさんいます。
しかし、面堂終太郎やメガネたちはラムちゃんを偶像視しているだけですし、
レイに至っては知能に問題があるのか何を考えてるのかさっぱりわかりません!
結局1人の女性として長所短所含めてラムちゃんのことを一番よくわかってるのは、
あたる君だけということですね。
今までのアニメ映画版では脚本の都合で転がされているだけで、
何を考えているのかわからん大馬鹿者の愚者扱いが多かった諸星あたるですが、
女好きで軽薄な男であるが、同時に彼の意地やプライドがマトモに描かれていたのが良かったですね。
創作で恋愛を描くには男女のガチの気持ちのぶつかり合いが無いと物足りませんから。
男が攫われて待ってるだけの『オンリー・ユー』
男が何考えてるかよくわからん『リメンバー・マイ・ラブ』
と比較して、その点も良かったです。
残り二作は恋愛要素が低いので今回は比較対象からは除外です。
原作本を最後に読んだのは昔ですので記憶がまばらですが、
本劇場版では最終舞台に想い出の詰まった友引高校を選んだのは良いアレンジだと思いました。
そしてクライマックスにはTV版の名シーンを新規に描き下ろして次々と挿入してくる。
素晴らしい演出でした。
正直なところギャグは全然笑えないですし色々と今のセンスと合わない部分も多く、
起承転結の承まではイマイチでしたが、
あたる君とラムちゃんの心情がクローズアップされてからは、
うる星やつらのアニメの締めくくりとしては申し分ない物語であるというのが総合的な評価でした。
(その後作られた『いつだってマイ・ダーリン』や記念OVAなんてものもありますが)
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。