退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
本作は、ハードボイルドな雰囲気で視聴者を酔わせることに傾倒した作品だ。登場人物はどいつもこいつも煙草を吹かしまくるし、ストーリーは暴力表現も過激なトコロがあったり、オチに救いの無い話も少なくない。最終話なんて、その最たるものだろう。
お話は、ワケ有りの二人の賞金稼ぎであるスパイクとジェット、これに賞金首の女性フェイに天才ハッカーのエド、優れた知能を持つ賢い犬アインの4人と1匹の奇妙な共同生活がメインとなる。
ここで一点、挙げておくべき特徴がある。
それは、本作はあくまでも作品の雰囲気がハードボイルド調なのであって、登場人物がハードボイルドなのではない、ということだ。(正確には、主人公が、だけど)
本作を最後まで視聴した人なら同意してくれると思うんだけど、主人公であるスパイクは感傷的で、感情に流されまくってる。全然、ハードボイルドなんかじゃないんだ。というか、ダサいんだよ。
ビシャスとかジェットの方が、ハードボイルドという表現がしっくりくる。
可笑しかったのが、メインの登場人物の、近すぎず遠すぎない関係性だ。
スパイクとジェットは流石に長年の相棒ということもあって息の良さが垣間見えるシーンをよく見るけど、フェイやエドに対する態度はかなりぞんざい。
ヒロインといっても特別スパイクと男女を意識するでもなく、ビバップ号の面々が絆を感じるような場面もない。誰もが誰に対しても、ほどほどの関心とそこそこの無関心で接している。
そして、その距離感の心地良さを、離れてみて初めて実感する。(理解するワケじゃない)
総評としては、作画の動きの良さとか音楽を考慮して、名作と評されることに異論はない。
が、居場所を求めて放浪を始めたエドの消息が描かれず終いだったのが不満なのと、そもそもフェイがそんなに好きになれなかったこと、あとエドの存在意義がちょっと疑問だったのでここらは自分の中でマイナスポイント。(テーマを考えれば、エドの必要性があったのは確かなのかもしれないけど……)
本作は、間違ってもクールな作品なんかじゃない。主人公もクールなんかじゃない。
キザなんだ。
最終回の「バン……!」でそれが分かると思う。このキザったらしさを好きになれるかどうか。本作の評価の分かれ目は、そこになるだろう。