ぱるうらら さんの感想・評価

3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

シリアスと鬱を最初から最後まで突き通した作品。

『未来日記』は漫画原作、2クール（全26話）のサスペンス＆ロー・ファンタジーアニメです。


この作品において私が一番惹かれた事は毎話のストーリー構成でした。どの様なモノだったかと言うと、ほぼ全ての回において1話1話の起承転結の『結』の部分に次の話へと繫がるための伏線を張って緊張感や期待を視聴者に抱かせる事が出来ている点です。つまり、話の幕切れ（1話1話におけるクライマックス的展開）にちょっとした衝撃を伴う結果やその結果の影響を意図させる内容の頭だけを表す事で、次話の視聴を視聴者に促す事に成功していたと思います。

また、もっと感心した事は非常に複雑な展開や設定を基に描かれた原作そのものの表現力とそれをアニメ化した際のアニメ版の表現力と完成度の高さでした。そして、この鬱な内容の表現に一役買っていたのが我妻由乃（2nd）のキャラと声優さんの演技であったと、さらに今作初見の私としては由乃役が一番重要な鍵を握っておりその点で上手くいったのではないかと思いました。


ストーリーに関しては1話で見ても作品全体で見ても終始シリアスで予期出来ぬ展開ばかりであり、特に終盤の展開もそれまで観てきた展開からは全く想像も出来なかった進み方をしていたため驚愕の設定でした。また、序盤は頭脳戦や説明が少し不足気味の難解な設定への理解のために少々頭を使う必要がありましたが、別に序盤で色々と考えなくともストーリーが進んでいけば自ずと理解出来るレベルであった事もまた良かったのかもしれません。

ただ一点、不満だった事は中盤から展開が早くなったため、中盤の未来日記所有者達とのやり取りがあっと言う間に済まされ、そもそもその存在自体が薄かった事です。
特に、ある意味ラスボスに近い存在であった11thとの抗争が物語全体で見るとあっと言う間に終わってしまい少々残念でした。その割に全26話という長丁場であったため、何処かに無駄があったのか、それとも26話ではとても表現出来ない程濃い内容であったのか...。最終話を見ると後者の様に見受けられますが…。



内容的に2度3度観て楽しめるような作品ではありませんが、1度くらいは観るべき価値のある作品であったと思います。