lZQnV50529 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
異文化交流アニメ
最近では、来日外国人が増え、東京都の結婚の10件に1件は外国人がらみ、というように、「異文化交流」が日常的なテーマになってきました。
このアニメでは、その異文化交流がどう表現されているでしょうか?まず{netabare}人類銀河同盟という、地球を離れた人類組織に所属しているレド少尉が、世界中海だけになってしまった地球に漂着し、ガルガンティアという船団に引き上げられ、船団の生活に慣れていくさまが描かれています。この慣れる過程でも相当失敗や軋轢があって、一歩間違えれば、追放になってしまうこともあり得たと思うんですが、なんとか、地球型の思考(ヒューマニティと呼べるものです)を身につけていきます。これには、エイミーやベベルを始め、ガルガンティアの人々の努力もあるんですね。上手く描かれていると思います。そしてある程度ヒューマニティが身に付いたときに、ご都合よくというかお決まりというか、ヒディアーズの出生の秘密を知って、ヒディアーズを大量虐殺したことを悔やむんです。レド君と同時に、チェインバーのコンピュータ(パイロット支援啓発インターフェースシステム)もこのヒューマニティーを学習していて、13話ではなかなかいい味を見せてくれます。
他方、上司であるクーゲル中佐も地球に漂着し、別の海賊の船団と行動をともにしますが、「神のみつかい」として崇められてしまい、レド少尉とは違った形で船団生活に慣れていきます。ただ、ストライカーの提言を拒否(15話)していますので、ヒューマ二ティーも少し身についていると思います。リナリアの死後はひとりで船団を統治せざるを得なくなってしまったのは悲劇です。効率性や生産性だけで物事を判断するような人類銀河同盟の価値観+自分なりの価値観でしか統治できなかった。
特に私が面白いと思ったのは、幸福の定義をチェインバーに聞かれて、ストライカーが答えるところです。ひとり爆笑してしまった。チェインバーはしっかり学習しているんです。{/netabare}
異文化交流の二つのパターンを比較し、ヒューマニティーや幸福とは何かを追求した点は、このアニメのひとつの主張だと思います。やはり異文化交流では受け入れの環境がいかに大事かわかりますね。お決まりパターンですけど、設定や結論がいいので、私としては十分楽しめました。