名無氏 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
考えさせられました
超能力の使える世界の隠された真相に迫るダークファンタジー
{netabare}
真相の一部を知った班員たちは一人一人殺されて、生きていた記憶まで消されていってしまうのですが、残された班員がたどり着いた世界の真相は残酷でした。新人類が姿の同じ旧人類を駆逐し、醜い姿に退化させ、支配下に置いている抑圧形態。
今ある社会は戦争や植民地化などの犠牲の上に成り立っているわけですが、誰もそんなこと考えもしません。だからといって今ある社会が正しくても過去の不正義を忘れてもいいということにはなりません。この物語にあるように、不正義による犠牲者が未だ生存中であれば、補償をする必要性が生じると思います。ですが、本編では新人類の不正義の黙認という形で幕引きとなっており、惜しい作品だなと思ってしまいました。
新世界の「その後」が見たかったです。旧人類の抵抗運動者たちは悪人として語られ続け、新人類の不正義は黙認され続ける。このような矛盾を残したまま幕引きになってしまったわけですが、残された班員が「真実」を発表したらどうなったのか、真実を知った上で新人類は旧人類に対してどうやって接するのか、色々想像してしまいました。
「我々は人間だ!」という抵抗者の最後の悲痛な叫びも、嘲りの中に葬られ、黙殺されてしまいます。現代社会においても弱者の尊厳を平気で踏みにじるような出来事が多発しています。二分化・分断化された社会の中で、これから新人類はどうやって弱者に接していくのでしょうか。新人類−旧人類という差別意識、能力差、姿、不正義の歴史の数々といった膨大な課題を残していると思います。
{/netabare}