名無氏 さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
鬱アニメですが、脱鬱アニメです
引きこもり学生の波瀾万丈な人生録
{netabare}
主人公は、大学一年生の頃に周囲からの視線や声に飲み込まれ、引きこもりになってしまいます。
引きこもりの中で親友と出会うわけですが、その親友と合作のプロジェクトは失敗し、意中の先輩を寝取られ、自分にアプローチをかけていた女性が宗教関連であったことが発覚し、主人公はどん底に落ちていきます。親友や先輩は幸せになっていくわけですが、主人公は全く浮かばれることはありません。
そのどん底からどうやって立ち上がったのか謎でした。
仕送りを止められ、働かざるを得なかったという状況でしたが、疑問が残ります。
あれほど人に対して恐怖心を抱いていた主人公が、一体どうやって立ち上がることができたのでしょうか。ヒロインや親友が支えてくれたわけでもありません。
「陰謀」という台詞がキーワードだと思います。陰謀のせいで自分たちは不幸になっている、という設定になっていましたが、この陰謀の捉え方が主人公にとって変わってきたのでしょう。
主人公は重度の対人恐怖症でした。そして、何をするにもマイナスに考えがちで、ヒロインとの学習も乗り気ではありませんでした。作中で幾度となく挫折を味わい、騙され、傷ついていく中で、主人公に耐性がつきはじめたのだと思います。途方も無い挫折感を味わったからこそ、外に出る勇気が出てきたのでしょう。画像収集など主人公は好きなことならとことん頑張れるという性向を持っています。その力強い意思をプラス方向に向けることができたということも引きこもりを脱出できた要因の一つだと考えられます。
もう一つは、不幸を自分一人の不幸であると思わないという意識が芽生えたことだと思います。終盤にヒロインをかばって崖底に飛び込むシーンがあります。もはや不幸は自分だけの問題ではなく、他人の不幸も自分の不幸であると捉え、他人の不幸を自分が犠牲になっても背負っていこうとする気概が見て取れます。
そのような経験の中で「不幸」であることは主人公にとって抵抗できないものではなく、立ち向かっていくものである、という意識が芽生えたと考えられます。
「陰謀があるから不幸だ」というのではなく、「陰謀があるからこそ」と言葉を逆手に取って人生をプラス面に捉えていこうとする主人公の前向きな姿勢が見て取れます。{/netabare}
鬱展開が95%を占めるアニメですが、最後の最後でハッピーエンドになってくれてよかったです。