生来必殺 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一斬必殺OVER斬るで、屠る!
殺し屋稼業に染まった者たちのカルマ深き物語。
彼等は帝具と呼ばれる特殊な武器、超兵器を操り、
命の取り合いに活路を見出そうとする・・・
「Born To Kill」という言葉を想起させる者たちだ。
物語はもう一人の主人公(実質的主人公?)少年剣士タツミの旅立ちから始まる。
経済的に疲弊した村を救うべく合わせて三匹の早熟の剣士が、いざ帝都を目指す。
{netabare}三人は帝都で立身出世して村を豊かにすべしと誓いを立てた。
早熟の剣士たちの最大の武器は曇りなき純粋な心。
だから旅先の道中でいかなる試練が待ち構えていても
彼等の誓いは決して揺るがないだろう・・・。{/netabare}
いきなりの試練か?帝都に着く前にタツミは他の二人とはぐれ・・・
単身帝都に意気揚々と乗り込むも{netabare}手厳しい洗礼を受け、窮地に追い込まれる。
捨てる神あれば拾う神あり、行き倒れになるところだったタツミは
とある貴族の迎賓館に招かれ経済的ピンチから辛くもまぬがれる。。。のだが。{/netabare}
何の因果か、宿命か、一斬必殺のアカメ率いる殺し屋集団「ナイトレイド」と
相まみえることになるのだった・・・
ある意味異能バトル系だが、
驚きと意外性のあるストーリー展開が魅力で1話から見所満載。
ダークな方向性に耐性ある人には特に1話だけでもお奨めしたい。
エルフェンリートというよりも極黒のブリュンヒルデの路線に近いかも。
ゆるくてぬるいパートと非ゆるぬるパートのバランス構成は多分上手い。
{netabare}「ゆるぬる」から「非ゆるぬる」への下り最速、スピード感と惹き付ける感は秀逸。
しかし逆の上り方向の展開にリセットボタン感覚があって少しついていけないところもあるが
視聴者を飽きさせないという意味では必要なことだったのかもしれない。{/netabare}
個人的には決戦そのものよりも、決戦前夜の高まっていく感に好感が持てた。
思いという重荷を背負った殺し屋稼業の者どもの覚悟とはいかなるものか?
刮目されたし。
以下はネタバレ感想etc.閲覧注意!
{netabare}
苦手なゆるぬる展開にもめげず最後まで辿りつけたのは
やはり匙加減が上手いからなのだろうけど、個人的にはもっとシリアスパート多目がよかったかも。
殺し屋稼業は殺し屋稼業としてのカルマを背負うから
惨い死が訪れるのは必然で、既に覚悟ができてるから
offタイムや窮地に追い込まれる直前まではお気楽モードなのも一理ありなのかも。
殺し業務と革命だけ、暴力と流血だけで帝国の悪政を修正できると純粋に思い込んでる
人しか革命軍にいなかったのならば本作のオチはかなり酷いことになっていたところだが
生き残った人たち(特にボス)が聡明だったので割と巧く着地できたと思う。
帝政の腐敗は都中、国中に蔓延し、強者が弱者をいたぶり搾取し喰らうのが日常茶飯事となる。
癌は鋭いメスで切除されねばならないが、村人や弱き民が救われなければ革命の意味がない。
殺し屋稼業に足を突っ込みながらも、村を救うという誓いを最後まで忘れなかったもう一人の主人公
殺し業務よりも弱き者を救うことに命を燃やし、生還するという約束を破るが
それも彼のカルマにもとづく結末だったのかも。。。
幸か不幸か生き残ってしまった殺し屋稼業の者は
死んでいった者どもの重荷を背負っていくのが宿命。
それが彼女の覚悟というやつだろう。
そして今日も、斬る、斬る、生きる。
{/netabare}
更に蛇足感満載の追記なので閲覧は要注意で!!!
{netabare}
そもそも通常の社会正義で裁けない悪行、魑魅魍魎が帝都に蔓延っているという大前提あるから
殺し屋稼業に出番があるということが基本中の基本。
帝具とかいかにも子供騙しのヒーローもの的アイテムとか殺し屋稼業の連中には不釣合いで
正義の味方とは対極にいるような彼等には無い方がいいのだろうけど
社会正義や普通の人間を超越した人の形をした魑魅魍魎を屠るための儀式
として帝具はもしかしたら必須アイテムだと言えるかもしれない。
(主人公のアカメの決め台詞は「葬る」だが、魑魅魍魎を裁く儀式の一環としては
「屠る」という表現がより適切ではないかというのが個人的見解)
人間を超越した魑魅魍魎を屠るためには、それと同等かそれ以上の力を得なけらばならない。
その力を得た者はどうなるか?どう考えても無事でいられるわけがないし。
人間やめたような殺し屋稼業の者どもにハッピーエンドなんてあるわけないのが自然の道理。
死亡フラグとはいかなるものか厳密な意味は知らないが、全滅級の死亡フラグは
第1話で既に出ていたと言えるかもしれない。
第1話で帝都には人の皮を被った魑魅魍魎がいて、帝都では騙される方が悪いとかいう教訓めいたエピソード
ありということは、善人の皮を被った悪逆非道の輩がいるのは必然で、
案の定一番怪しい容疑者がはぐれた二人との再会を示唆してるなら
偽善者の本性は悪人と容易に予想は出来たが、タツミとはぐれた二人が
まさかあの仕打ちとは、予測不能だった。
全滅か、生き残るとしてもタツミ一人くらいかと当初は思っていたのだが
予想に反して禍魂顕現を使い果たしたボスと妹殺しの大罪を犯したアカメが
生き残るのは予想外だった。(しかし後でよく考えてみたら納得)
殺し屋稼業に染まった者が愛だの恋だの人並みの幸せ得ようとかぬるい!
ぬるすぎる!と最初は思ったが、マインもエスデスもチェルシーも
殺し屋としては負け組みでも、人を愛する喜びを知り死んでいったのだから
人としては勝ち組で、殺し屋として生き地獄を味わい続けるよりもマシな
人生を全うしたといえるのかもしれない。
殺し屋稼業とは血塗られ呪われた道を行く定め。
だからこそ救いは必要で弱き者の救世主タツミの役割が重要になる。
だがしかし、本来救われる権利のない殺し屋稼業の者どもを救うとしたら
その代償はかなり高くついてしまうのも当然の成り行きで。
救世主の役割を果たすべき彼が、予想に反して散ってしまったのも道理なのかもしれない。
最強の戦士エスデスは恋をした。それは人としては強さと言えるのかもしれないが
殺し屋稼業の者、戦士としては弱さの現われ。
最愛の妹までを自らの手で殺し、罪深い殺し屋稼業の道を一人で歩み続けるアカメ
殺し屋として重い宿命、大罪を背負い続けることを覚悟した彼女に
エスデスが弱肉強食の原理による殺し合いの勝負で負けたのもある意味必然。
殺し尽くした後に後悔しても手遅れで、その罪は自らの死を以ても贖えない。
だから背負い続け、生きることを続けるしか道がないのだろう。
{/netabare}