無毒蠍 さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
原作プレイ済みとしては嫌でも比較してしまうわけだけど、思ってたよりは悪くなかったと思います。原作のダイジェストになってしまってるのは、1クールじゃ、あきらめるしかないね。
原作は美少女ゲームとよばれる、いわゆるエロゲなんですけど
この作品はフロントウイング10周年記念作品として発売されたグリザイア三部作の一作目です。
問題を抱えた5人の女子生徒が集う私立美浜学園に転入してきた6人目の生徒であり、
主人公の風見雄二が彼女たちの問題の解決の手助けをしていくという内容になっています。
雄二も抱えてる問題はありますがそれが本作で明かされることはありません。
彼の問題に関しては伏線だけ散りばめられ「グリザイアの迷宮」で明らかになります。
風見雄二はフルメタル・パニックの相良宗介を落ち着かせたようなキャラでしょうか。
比較的万能で頼りになります、声は櫻井孝宏さんですが違和感はなかったです。
原作で主人公の声はなかったので、
ここが最初の関門ともいうべき点でしたが個人的にはありです。
私はアドベンチャーゲームの中ではアニメ化に向いている作品だと思っていました。
というのも美少女ゲームの場合、ヒロインごとの個別ルートの存在が一般的ですが
アニメ化するに至ってそういった個別ルートを一つのアニメ作品に仕上げるというのは難しいものです。
当然グリザイアの果実にも個別ルートは存在するのですが
上でも述べたとおり、この作品は三部作なんですよ。
つまり個別ルートからじゃ続編につながらなくなってしまうのです。
なので正ルートのようなものがあって、全員の問題を解決したという流れで続編につながっています。
が、グリザイアの果実には全員の問題を解決するようなハーレムルートはないんですよね。
ある意味、アニメ版グリザイアの果実は、
原作にはなかったハーレムルートを味わえる作品なのかもしれません。
そんな感じで全員の問題を解決したルートで続編に続いてる作品なので
個別にとらわれることなくアニメ化しやすかったんではないでしょうか。
そうなってくると問題は話数になってくるんですが
さすがに1クールじゃ厳しいかなという印象でした。
みちると蒔菜を観た感じだと2話でギリって感じですね。
幸と由美子の1話はもうどうしようもないなぁ、と思いました。
長い個別ルートで明らかになる彼女たちの問題を1話でなんて無理にもほどがあります。
ですがプレイ済みの身としては「あー、そういえばそんなんだったっけ」など
観ながら思い出すことができたのでプレイ済みの人からしたらダイジェストとして
それなりに楽しめる作品とも言えるのではないでしょうか。
幸と由美子のルートはあまり憶えてないんですけど
1話しか割り当てられないって、やっぱ人気なかったのかな…
彼女たちの問題解決の話になるのは4話くらいからなんですけど、
今思うと1話から3話までを日常話に割り当てたのがもったいなく感じてしまいますね。
もちろん、そういったキャラクターの掘り下げ的な話は重要だと思いますが
1クールしかないので不必要な部分は出来る限り削ぎ落とすべきだったかなと。
1話しかなかったキャラもいれば天音は4話ありました。
まぁこれは仕方ないと言えば仕方ないですよね。
僕自身、原作で一番印象に残ってる話が天音でした。
続編につなげるうえで天音の話というのは重要な役割を担ってますし、
迷宮・楽園ありきでつくったらこうなるのも理解できます。
基本的に原作のBGMなどを使い雰囲気を損なわないようにつくられていたのは好感がもてましたし、
アニメを観てるんだけどゲームをやってるかのような懐かしさも多少はありました。
でも天音のラストはオリジナル展開でしたね、学校での立てこもりなんてなかったように思います。
まぁこれはこれでありなオリジナル展開に感じました。
そこまで原作とかけ離れてもないですし。
全話視聴し終わっての感想は、せめて2クールあれば、というものです。
よく言えばテンポがよく、悪く言えば重厚感が損なわれてます。
パッパパッパ進むので原作より、だいぶ軽いです。
しかし下ネタだったりエログロ系だったり、
18禁ゲームとしての存在感を完全に失わないように努力した様子が窺い知れました。
正直、アニメ化ってことでそういった描写はほとんど消えるんじゃないかと思ってましたが
頑張って残してくれたほうだと思います。
個人的な理想としては果実2クール、迷宮1クール、楽園1クールですね。
本当に思ってたよりは悪くなかったので迷宮も楽園も観たいと思ってます。
迷宮では僕があにこれ登録時からアイコンにしてる、
師匠こと日下部麻子が登場するので今から楽しみです!
【B+75点】