シェリー さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
この映画を好きな一番の理由?それはね、、、
『オトナ帝国』と並んでクレしん映画の中でその枠を超え、時を越えて愛される本作。
今観ても、何度観てもその面白さは色褪せることはなく僕らを楽しませてくれます。
ストーリーは題名からも分かる通り野原一家が戦国時代に行きます。
まあそこで色々ある訳ですが未見の人は何も知らずに観た方が野原一家により共感できるでしょう。
ということで割愛w
この映画を一言で言うと、となるとまったく出てこないのですが、だからこそなのか(というのは都合がいいのだけれど)本作には本当にたくさんのものが詰まっています。いつも通りのおふざけもあれば、武士道もあり、習慣や価値観の違いがみられたり、変わらぬ親心があり、命を懸けた戦もあり、かたや恋もある。そこに出てくる人たちの行動や血の通った言葉はひとつひとつが僕らの心を打つ。それらはすべて彼らの魂の美しさを象徴しているようにまっすぐだ。部分も、全体もが丁寧にとても大切にドラマティックに描かれているところが傑作たる所以でしょう。ひとつの窓から眺めるには非常に惜しい作品です。
その中でも特に倫理観の違いによる人々の描き方が僕は好きです。
倫理観、モラルと呼んでもいいのですが、はたして人はそれに縛り付けられるのか、
それとも立派に美しく生きるための正しい規範なのか。われわれの価値観というものは本当に正しいものなのか。
他国との戦や結婚を目の前に当時の人々は悩みます。さらにそこに未来の情報が入ってきます。
名の残らない戦。それどころか侍は何一つ後世には残せないという事実。特に制約のない恋のかたち。
人々はその狭間で揺れます。われわれはどうあるべきか、何をするべきか。ほんとうに大切なことを見失ってはいないか。
よりどころとなっていた考えは見直しを図られる、この”揺れる”描写が好きです。
時代考証もちゃんとされているとよく言われています。僕はこの時代のことをよく知っている訳ではないので肯定も否定もできませんが、細かいところまで気を遣っていることは一目瞭然でしょう。そういった細部への惜しみない配慮は自然と作品から伝わってきます。
でもね、一番何が良いかってね、それは出てくる人々がみんな人柄の良い人達ばかりで好きになってしまうところですよ。
野原一家はもちろんのこと、青空侍も廉ちゃんも仁右衛門もお里さんも吉乃さんも家来も敵だって捨てたもんではないです。
思い出すだけでも顔がちょっと笑ってしまいます。
それに加えてあのストーリーでは僕らがつけこむ隙はまったくありません。まさに100%の作品です。
本当に素晴らしい。まさに大傑作です。一見の価値は十二分にあります。