OZ さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
良くも悪くもファンタジー頼り
原作のライトノベルは読んでいないが
お気に入り作品である『ココロコネクト』でシリーズ構成を
最近の作品で言えば『ゴールデンタイム』『未確認で進行形』で
シリーズ構成と脚本を努めた志茂 文彦さんが
今作品のシリーズ構成をやられるとの事なので
京都アニメーション×志茂 文彦さんの組み合わせから
期待して観てみる事にした2014冬アニメ
■良くも悪くもファンタジー頼り■
閉園に追い込まれた遊園地を再興するべく
あの手この手で集客を試みる
ドタバタコメディ『甘城ブリリアントパーク』
まず目に止まるのは一目見て分かる
如何にも「京都アニメーション」らしい
お馴染みのキャラクターデザインと安定した作画だ。
今でこそキャラデザは
新鮮味が無くなってきたものの
癖の強くない絵柄なので
「観易そうだな」と
入り口を広く保っているのは
流石 京アニと言ったところである。
しかし 肝心のストーリーはと言えば
ハッキリ言って練り込みの甘さが目立ち
危機感が希薄な点は惜しい。
今作品のメインテーマは「遊園地を再興する事」であり
課せられた期日内に
目標入場者数を動員出来なければ閉園に追い込まれ
メープルランドの住人は居場所がなくなり生存が困難
ひいては総支配人である姫 ラティファの存在が消滅してしまう事に。
手を変え品を変え入場者数を増やしていく。
そこまではパークを維持する為
費用をやりくりしていく描写があるので良かったのだけれど
目標数に届かないと分かるやいなや
終盤で入場料30円に極端な値下げをしたり
最終的には入場ゲートをくぐるだけで
目標が達成されてしまうなど
赤字覚悟でなりふり構っていられないのは分かるが
パーク経営はシリアス設定なのに対して
運営費については非常に曖昧となっている。
こうなってしまうと
根本的なパークの再興からはかけ離れ
ただ"入場者数を稼ぐだけ"になってしまい
危機感の希薄と同時に
感動も薄れてしまったのは残念だ。
またキャラも同じで
設定を活かしきれているとは言い難く
主人公 可児江 西也は
ラティファから「相手の心を読む魔法」を与えられるのだが
同一人物に対しては1回のみしか使えない制約がある為
使い所が少なく物語とスムーズに絡まっていない。
ヒロインの千斗 いすずも腹を立てた際
銃を手に相手を威嚇したり
実際にぶっ放したりするのだが
魔法の銃である必要性を感じさせず
ただのツッコミ小道具となってしまい
感情表現の乏しいクールな暴力的美少女に収まってしまう。
メインテーマは一貫していて
面白くなるであろう素材は揃っていたけれど
良くも悪くも「ファンタジー」頼りな構成は
シリアスとのバランスが悪く
全体の統一感を失い
盛り上げ所でも今一つ盛り上がらず
全体の引きの弱さへと繋がってしまった作品である。
■あとがき■
全13話を観終わりましたが
クライマックスを迎える第12話以外
パッとしないまま終わってしまったかな。
終始 着ぐるみ達が賑やかしになって
ドタバタしていた印象しか残ってないんだよね。
なので 1話1話の密度が薄く
1クールで纏めるには
多くの要素が噛み合ってない気がしたよ。
もっとシンプルでも良かったのにと
何度も頭をよぎったな。
話は逸れるが
略称の「甘ブリ」の文字を見ると
「あまぶり」ではなく
つい「かんぶり」と読んでしまいそうになる(笑)
大きな欠点は無かったけれど
今作品ならではの"売り"が何だったのか?
最後まで力を出し切れていない作品に感じました。
満足度 ★★★★☆☆☆☆☆☆ (4)