「魔弾の王と戦姫(TVアニメ動画)」

総合得点
72.3
感想・評価
1018
棚に入れた
6445
ランキング
1168
★★★★☆ 3.5 (1018)
物語
3.5
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 2.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ラノベ原作の本格派戦記+戦姫萌え。力作だが尺不足が惜しい

ライトノベル原作の、中世ヨーロッパ風味のファンタジー戦記。
近年の戦記としては世界情勢や戦略戦術が本格的、中々の力作です。
戦姫(せんき)という美少女達が中二っぽい能力バトル繰り広げたり、ハーレム萌え要素も美味しい。
それでも基本は中世舞台の戦記、戦記が好きな人ならば(余程、萌えが嫌いで無いならば)オススメ作品です。
※「戦記」というジャンルに不慣れな方には、とっつき難いかも。

惜しむらくは全13話では尺不足でダイジェスト感が否めない点。
それでも駒を使った戦局解説など、可能な限り分かり易い構成にはなってます。


{netabare}『物語』
舞台は中世前期のヨーロッパ風の世界。
主人公の青年ティグルが弱小とは言え地方領主で、戦乱に巻き込まれた領地と領民を守るべく戦う。
ティグルの国・ブリューヌ王国が敵国のジスタート王国に敗北、敵国の指揮官、戦姫と呼ばれる美少女戦士エレンの捕虜になってしまう…。
ところが、祖国なハズのブリューヌ王国内の大領主テナルディエ公爵の軍勢に領地アルサスを攻められ…領民を救うべく、敵国の戦姫エレンに助力を求めるのだった。

…まず、戦記に不慣れな人には勢力関係が分かり辛いかも?
誰が味方で誰が敵か?何で自国に攻められて敵国に助け求めるの?
まあ、アニメの流れ見ていれば分かるとは思いますが…

※物語のモデルとなった時代は多分、中世でも前期、絶対王政が確立する以前だと思われます。
(弓軽視の風潮、領主の群雄割拠)
各地の領主は半ば独立勢力であり、必ずしも自国の王に無条件で絶対的忠誠を誓っているとは限らない。
日本でも鎌倉時代の「御恩と奉公」があるように、自分の領地を安堵してくれないなら、敵国の戦姫に付いても不自然では無いです。

戦姫エレンにベタ惚れされるラノベのお約束展開ありつつ、領地アルサスと民を守るべく合戦するティグル。
戦争の経緯を駒を使ったナレーションで、分かり易く説明してくれる構成が良かったです。
戦記物として戦術が中々しっかりしていて面白い。
フィクションでは軽視されがちな「補給・兵站」をきちんと描写しているのも好印象。
戦姫やティグルの指揮官絶対射殺するマンなチートはあれど、それだけに頼らず、きちんと合戦が成り立っている。

最初の敵将ザイアンが絵に描いたような小物のゲス、メイドのティッタちゃんが薄い本展開されそうにグヘヘヘヘ!
颯爽とティグルが弓で救出!王道ベタベタだが実に萌え…燃える!

敵国ジスタートの戦姫と組んで自国ブリューヌの領主を敵に回す事で立場が苦しくなりつつも、己の信念に従い戦うティグル。
次第に信望を集め(ついでに着々とハーレム化進行)一大勢力となっていく…。
※戦略状況が些か込み入っているのですが、アニメではダイジェスト感あれど比較的分かり易く解説されていた感。

メインヒロインなエレンよりも(多分)人気度で上な、リュドミラ(愛称ミラ)登場で、ハーレム戦争も佳境に。
ミラかわいいです。

明らかに異文化(多分、イスラム勢力がモデルか?)なムオジネル王国との合戦が本作の山場でした。
名将赤髭(バルバロス)率いる圧倒的大軍相手に、寡勢で立ち向かうティグル率いる「銀の流星群」!
やはりダイジェスト感はあれど、戦略シミュレーションゲームめいたワクワク感あり。
※この点も、戦記や戦記系ゲームに疎い人には合わないかも…
その手の戦記やゲーム好きな人には大好物でした。
…ここで惜しむらくは、敵兵のCGが滅茶苦茶に踊っていて興醒めする事。
本作最大の見せ場であろう大規模合戦で、これはいかん。

他にも戦姫出てきたり、自国の命狙われてる王女様を擁して上洛したりとストーリーが進行。
ここからが面白いのだが、尺不足が辛かった。
アニメスタッフは限られた尺で精一杯やってくれたとは思いますが…。
ティグルの英雄譚はまだまだこれから、まだ顔見せ程度の戦姫も居ますし、出来れば続編が見たいです(ムリでしょうけどねぇ)。

総じて
近年のラノベの戦記としては希少な力作です。
お約束のハーレム萌え要素あれど、戦記として骨太。
尺不足。ダイジェスト感が否めないが、精一杯分かり易い構成は評価。
「まおゆう」と並び、せめて2クールは欲しかった作品の筆頭です。
評価は4.0か迷いました。


『作画』
ラノベ絵として十分良いキャラデザ。ティッタやミラ等可愛い美少女多し。
また合戦の流れを、戦略シミュレーション風味で解説する描写もナイス。
戦姫の能力バトルや、ティグルの射撃シーン等、十分な見所あり。

惜しむらくはムオジネル軍の兵士の「ふしぎなおどり」
折角の大規模合戦のカタルシスが興醒めになってしまう。

『声優』
リュドミラの伊瀬茉莉也さんが一番ハマリ役だった。
凛とした気高さとドヤ顔の自信、デレの可愛さ諸々。
ミラの可愛さ存分に出してくれたので高評価。
メイドちゃんことティッタの上坂すみれさんの奥ゆかしさも良い。
ザイアンにグヘヘヘ!と迫られた際の健気さが萌え!

男性陣のベテラン勢も本作を盛り上げていた。
黒騎士ロランの東地宏樹さん、バートランの菅生隆之さん、そして悪の黒幕の飛田展男さん等々。

『音楽』
OP「銀閃の風」が壮大な戦記のテーマ曲として良い感じ。
歌詞が素直で分かり易い点が好感持てる。
BGMも戦記を盛り上げていた。

『キャラ』
ティグルはアニメ主人公には珍しい、弓使い。
弓使い主人公といえば「ロビンフッドの大冒険」以来かな?
三国志の劉備玄徳めいた義と仁徳の英雄。
ラノベ主人公らしく、ラッキースケベとハーレム体質も良い感じw

メインヒロイン・エレンは正妻として頑張ったが、見せ場はリュドミラが優勢だったような。
ミラが戦姫では一番可愛かったです。
凛とした信念と強さ、時おり見せるデレ…かわいい。
ミラもだが、本作ヒロイン勢は必ずしもチョロ過ぎるワケではない点も良い。
メイドのティッタちゃんも可愛いです。奥ゆかしい侍女の鑑スバラシイ♪

本作は男性陣の層も熱いのが特長。
ティグルの爺やポジの老兵バートラン、ティグルに賛同してくれた老貴族たち、ハゲの有能なルーリック、ルーリックと結構仲が良さそうなジェラール等々。
黒騎士ロランや赤髭、ティナルディエ公爵ら男性の強キャラ多いのが好印象。
主人公とヒロインだけでなく、きちんと男性キャラにもスポットをあてる。戦記として良いキャラクター達です。

『余談』
私は田中芳樹先生の銀河英雄伝説やアルスラーン戦記が大好きでした。
コーエーの歴史ゲームも好きですし、とにかく「戦記」が好きです。
近年ファンタジーと戦記は劣勢な感がありますが、本作はその中では比較的力作に思えます。
こういう作品が世に出てきてくれるのは嬉しい事です。{/netabare}

投稿 : 2015/01/02
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サンキュー:

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