lZQnV50529 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
2007年当時の世相を反映
制作当時の世相を反映しているアニメです。
当時は原油価格がうなぎのぼりでした。WTI原油価格は、以前は、1バレル10ドルから40ドルくらいだったものが、この番組が世間に出た2007年当時は1バレル80ドル、翌2008年には1バレル140ドルをつけます(その後下がって、2015年1月現在1バレル52ドルくらい)。原油価格が上昇するとガソリン代や電気代が上がって人々の生活に大きな影響を与えます。当時は、原油は枯渇性資源ですので、値段は上がる一方と思われていて、対抗策として代替エネルギー、特に宇宙太陽光発電の開発を、世界的に進めるだろうというこの物語の予測は納得がいくものです。また、太陽光発電の開発が成功した結果今度は産油国が貧困に陥るという設定も十分ありえると思います。
太陽光発電と軌道エレベーターの開発を進めた3つの国家群のうち、サルコジ(2007年当時のフランス大統領)風の男性とメルケル(ドイツ首相)風の女性が議論している風景がよく出てくるAEUは、グラハムエーカーに言わせると開発が一番遅れている。実際のEUにおいても、最近でも量的緩和に踏み切るのが遅すぎるように思えるので、そういうEUの性格がこの物語でもよく描かれています。
日本は、どうか?2300年というと日本は消滅してしまっているかと思ったが、まだあった!地理的には人革に属しそうですが、米国依存体質は290年後も変わらないようで、ユニオン(米国中心の国家群)に属してますね。教育に力を入れ学生が世界から集まっているようにも見えます。ただ、沙慈・クロスロード、ビリー片桐、リーサ・クジョウというように純粋の日本人が少なくなっていることが想定されているのかも知れない。
技術的には、アニメのように、実際にモビルスーツの開発が行われるかはわかりませんが、産業用ロボットや介護ロボットはどんどん進歩していきそうです。100年くらいで核融合も実用化されていくかもしれません。再生医療はips細胞の発見で今後急速に実用化され、うまくいけばこのアニメのレベルに数十年で到達できるかもしれません。ところで、山中さんがips細胞の論文を載せたのが、2007年11月ですからこのアニメの先見性に脱帽です。
各話の内容も、現在起きている政治問題に近く、社会人が見ても、お話の展開についていけます。
経済政治問題という観点や、未来技術という観点から、このアニメを見直してみると、とても面白いと思います。また、金融や国際経済を扱っている社会人の方でアニメ初心者という方にもおすすめできます。