kurosuke40 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
感情と理性の殴り合い
幼心に記憶に残っている数少ないアニメの1つ。
前半は熱く、後半は肩透かしを食らった感じがしたが、最後は痛快に終わった印象があった。
敢えて今解釈を付けるとしたら、野性的な感情代表の「カズマ」と合理的な理性代表の「劉鳳」の、どうしても相容れない感情と理性の殴り合いだろう。
{netabare}
前半はカズマの独壇場である。野性的であまりにも感情的なカズマが、己の根拠の無い自信を持って、またその自信を守るために奮闘する姿が熱い。私が覚えている台詞は「見下してるんじゃねええええ!」という叫び声だ。
しかし、カズマの前に理性が現れる。カズマは劉鳳にズタボロにされる。それでも、それでも根拠の無い自信を守るために、再度殴りかからずにはいられない、というのが前半のハイライトだ。
後半は、前半の熱さと期待して見ると肩透かしを食らった記憶がある。ただ覚えているのは、意気消沈したカズマと、人質がいるのに殴りかかっていったカズマに激怒する劉鳳だ。恐らく前半と対比である理性が出張ってきて、前半に夢中になった視聴層としては「俺の求めているモノと違う!」状態になっていたのだと思う。
それでも、ラスボス前には、どうしても感傷的になれない劉鳳に対して、「お前は今泣いていい」とカズマが諭すシーンもあり、二人は一致団結してラスボスを倒す。
普通なら手を取り合って分かり合うオチなのだろうが、しかしながらこのアニメは、分かっててもやっぱりお前とは絶対相容れないわー、と最後は(最終話を丸々使って)殴りあうのは痛快である。男の生き様というやつだろう。野暮だが意味を取り出すとすれば、感情と理性は絶対に相容れないが、弁証法的に互いに成長しあうという意味合いだろうか。
「論理がなければ必ず間違う。だが論理だけでは合うとは限らない」という言葉を思い出す。
{/netabare}
幼い私を含め、合理主義的な意味でのヒューマニズムに毒された層にはカズマの生き様は熱く眩しい。そういう層にはそれだけでも見る価値はあるのではないか。