oneandonly さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ほむらの愛の物語
世界観:8
ストーリー:7
リアリティ:9
キャラクター:8
情感:6
合計:38
TV版で衝撃を受け、色々調べていたら続きがあることがわかり早速視聴しました。私の感覚ではあれだけの完成度を見せた後のストーリーが成り立つのかというのがまずもっての心配でしたが…、破たんしていません!
自分の評価中の「リアリティ」は、現実的というだけでなく、物語の整合性の評価でもありますが、魔法少女物を裏切る作品という方向性による意図なのか、作者のこだわりなのか、非常に論理的に考えて作られていることを高く評価しています。
{netabare}このストーリーの重要点は、ほむらが円環の理を拒み、まどかの存在を現実世界に取戻したこと、その時から悪魔を名乗り、ダーク風に描かれたところです。
ほむらはTV版ストーリーで、まどかを生き延びさせるために、ワルプルギスの夜までの1か月をどれくらい重ねたのか。死んだ人をどれくらい見たかという問いに、「数えるのを諦めるくらい」と言っていますし、まどかが死ぬところを何度も見たとも言っていたはず。
その重みを踏まえつつ、その後の世界にはまどかの存在は消え去ったものの、ほむらの記憶だけには残ってしまった状況を考えると、ほむらは精神的にかなり追い込まれたことはまさに道理(TV版のラストの翼もそれを示唆していました)。
そして、魔女となったほむらのラビリンスに迷い込んだ、記憶を失っているまどかが発した、現世のつながりに未練を思わせるストレートな言葉で、ほむらは再度まどかを救うために身を挺していきます。もう、迷わないという思いは、神まどかを相手にしても怯むことがありませんでした。
概念上、悪魔となってしまったほむら。やつれた目や、虚無を思わせる口元、そしてラスト付近でのまどかへの言葉「将来敵になるかも」は、ほむらのイメージを変え、受け入れられないほむほむファンもいると思うのですが、見れば見るほどほむらの愛が伝わってきます。
「将来敵になるかも」という言葉で、当初、続編があるのかという印象を受けたりもしましたが、少なくともこれをもってこれから神まどかvs悪魔ほむらのようなストーリーが描かれることはないですね(リボンをまどかに返して、やっぱりまどかに似合うと言ったほむらを見て)。
周囲の評価の高まりで、興行的成果を求めて更なる続編をという流れになっても不思議はありませんが、この脚本は完結させようとして作られていると思いました。ラストの半月とほむらの倒れるシーンは少し気になりますが、新たな伏線とまでは現状言えないかなと。
劇団イヌカレーの作画に頼りすぎで、映像美で間延びしているシーンもあったかと思いますし、まどかとほむらの会話の部分くらいしか情感に訴えるシーンがないこと、家族ももう少し描いてほしかったことから、TV版より評価は下がりますが、それを割り引いても美しく深みのある作品です。{/netabare}
TV版を気に入った方は是非ご覧ください。劇場版を含めて、まどマギは完成されています。
※3回見てさらに感想が変化しています。1回目ではわからない部分が多く、2回目も見落としがありました。なにせ外人さんのlive reactionでTV版はもう10~20回は見ているので、前よりも描かれているものが理解しやすいです。
(2022.8追記)
まどマギ関連の評価調整は悩むところもありますが、叛逆の物語を単体で評価した場合、魔法少女が仲間になってのアクションや中盤からの謎解き等、楽しめる部分もあるものの、情感の面ではやはりTV版からは数段落ちてしまっていて、同評価作品と比較して思い入れが少ないことから、下げることとしました。
更なる続編の発表もされていますが、TV版以上の感動を生む物語となることを期待しています。
(2014.12初視聴、2022.8調整)