蒼い✨️ さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
好きな人には良いと思います。
アニメーション制作:オー・エル・エム
1999年10月5日 - 2000年4月4日に放映された全24話+OVA4話で15分枠のTVアニメ。
原作は、『月刊エースネクスト』『月刊少年エース』に連載されていた介錯による漫画作品。
監督は高橋ナオヒト。
【概要/あらすじ】
時は大正時代中期。第一次世界大戦で戦勝国となった日本は戦争景気で勢いを増し、
列強の一国としての地位をさらに強固なものとしていた。
財閥と軍部が組み、国内での力をますます強めていった時代。
時代の変革の中、和洋・新旧・そして男女が入り混じった大正浪漫溢れる時代の物語である。
主人公の神維仲人(かぐら なかひと)は陰陽師宗家の神維家の次男であるが術が使えない未熟者。
幽霊屋敷の探検に忍び込むことを思い立った、あまり性格のよろしくない同級生三人に、
『お前、陰陽道の家の子なんだから 御札とか使ってなんとか出来るだろう?』
と、幽霊退治役を勝手に押し付けられて無理矢理に連れて行かれる。
到着すると屋敷を含む敷地は封鎖され進入禁止で、軍人の一団がいた。
軍人たちの目をくぐり抜けて忍び込む少年たち。
『悪魔博士を倒してこい!』と仲人は三人に屋敷の壁の穴から突き落とされる。
その後、物音とカラスの群におびえて逃げた三人。
取り残された仲人は屋敷の中の薄暗い実験室で、
座った状態で死んだように動かないメイド服を着た少女を見つける。
少女を間近で眺めていた仲人。そのとき地響きと共に少女が倒れる。
そして、偶発事故にも口づけをしてしまう。
目覚めた少女は『ご主人様ぁ!きゅぃぃぃぃん!!』と仲人に抱きつく。
彼女の名は、“くるみ”
エンゼルハート改を搭載した機械の身体の人造人間・鋼鉄天使である。
幽霊屋敷の持ち主であり科学者である綾小路博士に作られた。
鋼鉄天使である“くるみ”を狙う軍部との戦いから始まり、
物語は、“くるみ”の姉妹である新たな鋼鉄天使の出現。
そして、本来ならこの時代にあるはずのない科学の秘密。
鋼鉄天使が何故存在するのか?くるみを巡っての争いが続いていく。
【感想】
原作単行本は全11巻を読了。
ジャンルは、美少女ヒロインバトルコメディ。
『エンゼル・ハート』というアダルトコミックの続編であり、
その作品に登場した天使たちひとりひとりの魂がくるみたち鋼鉄天使のエンゼルハートに入ってるんでしたっけ?
ネタバレですが、まあいいよねw
機械の身体といってもメカメカしさが無く力がある以外は見た目は人間と全く一緒だったりして。
原作初期の絵柄はアダルトコミックを描いてたときの影響が強くて、
クセが強いものの可愛い+色気ある+丁寧で割りと魅力的な作画だったんですが、
連載が続いていくうちに簡略化と手癖で描くようになったりしてで、
ロリ化+エロス喪失 →終盤には雑で変な絵柄にまで変わり果てたりして。
漫画家が絵柄変わるのはよくあることなんですが、劣化甚だしくてどうしたんだろう?て。
原作のストーリーは勢い任せで、とっ散らかった感じ。作者のオタク趣味をガンガンぶち込みましょう!
って感じでして、『Toheart』のマルチのパロディキャラの鋼鉄天使を出してきたり、
Gガンダムのガンダムファイトが気に入ってたのか、
パロディで世界各国の鋼鉄天使が争い、敗北=脱衣の鋼鉄ファイトが繰り広げられていたり、
紙面で楽しむだけならまだしも、アニメで同じことをやったらカオスなことに!ってことで、
アニメ版のストーリーは原作序盤の鋼鉄天使三姉妹登場以外は共通点が薄いオリジナルストーリー。
まあ、原作がろくに進んでない状態でアニメ化しちゃったので、とりあえず2クールで決着つけるために、
原作を整理した上でアニメ脚本家が展開を作らざるを得なかったというのが実情でしょうね。
役回りや性別などのキャラ設定を変えた登場人物が結構いて。アニメでは未登場の原作キャラすらいます。
まあ、原作をそっくりそのままアニメ化しても、
『くるみぱーんち!』『ご主人様との愛の力で勝ったですぅ』
で、どうなんだろ?て内容でしたので、この作品に関しては仕方無しかも。
アニメの見どころは、千羽由利子による可愛いキャラデザと総作監で作画崩れしてないという部分でしょうね。
あと、楽しい主題歌とOPアニメ?ストーリーは、というかキャラは特に良いとも言えない。
ショタ主人公の仲人は声変わりしてない美少年であって、
原作だと髪型変えたら女の子じゃない?ってキャラで、アニメだと若干男の子っぽくなってる。
そこに、ご主人様ラブ以外何も考えてない“くるみ”、くるみラブの妹の“サキ”
“くるみ”に対抗意識がある末妹の“カリンカ”
そしてそれに振り回される、保護者役の天城礼子博士というのが基本的な構図。
くるみのキャラが酷いですね。個性というより属性の塊。
『くるみ(←自分を一人称で呼ぶ) ご主人様が大好きですぅ(←男に媚びすぎ、ぶりっこ)
きゅぃぃぃぃん!(←アラレちゃん?)』
くるみはメイドでもないのに、意味もなくミニスカメイド服がコスチュームですし、
オタク向けヒロインとして作られた記号だらけのキャラ。
服装がおかしいものの原作初期作画のくるみ、アニメ版のくるみの見た目は結構な美少女ですけどね。
そもそも『Kissからはじまるミラクル』
ご主人様のキスで目覚める前のくるみは過去や人格が存在しなく、
ご主人様への好感度MAX状態から始まっていて、恋愛も育つ過程をすっ飛ばされていますし。
そこへ、ご主人様へのキスやら一緒にお風呂やらの大攻勢。そんなヒロインに対して同性愛の妹がいたりして。
ある意味オタクの願望みたいな世界。まあ、シンプルに『くるみちゃん可愛い』『サキちゃん可愛い』
で満足できる人向けの作品かな?それを阻害する感情のもつれとかややこしい設定とを、
一切抜きにしたエンタメな作り。
アニメはアニメで一本のストーリーとして成り立つように作ってますが、
キャラに奥行きの無い原作から、キャラを特にいじることなくオリジナル展開にしてるため、
特に深い感銘を受けたりすることなかったりして。
見た目の情報以上のキャラが各登場人物に基本的には存在しないのですよね。
妹も、一緒にお風呂に入ってベタベタしたい姉命のシスコン百合キャラだったりと、
人格というよりはオタク妄想で作られた、オタク向けの理想のキャラが属性で動いてる感じ。
くるみが、ご主人様にデレデレするとか、美少女キャラが近い距離で頬を赤らめてベタベタと絡むとか、
そういうのを千羽由利子の作画で楽しむ!それだけのアニメに思えたり。
アニオリ決着に向けてで終盤はシリアス展開に終始して綺麗な終わり方になってますけどね。
原作の終盤バトルの酷さを読んでますと、アニメではマトモに終わってるってだけでも本当にありがたい。
前世紀末の萌えアニメのサンプルとしては観ても良いかもしれない。
でも、キャラやストーリーが練り込まれているわけでもないので、
細やかな人間描写や深い物語性に期待してはいけない。
萌え以外に特に何も残らない作品というのが、正直なところでした。
まあ、良いんじゃない?作者だって、そういう作品として作っているのですから。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。