退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
オンガクのチカラ
■音楽によるコミュニケーション
本作は音楽を通して、青春のあれはそれはの憤りをぶつけ合い理解し合う事を主に描いている。音楽には理論があって、例えばコードとか呼ばれるものとかがそれに当たります。簡単に言うと聞こえの良い音の流れとでも言う感じでしょうか。ただ、本作はジャズセッションを通してそれを表現しているわけで、セッションにおいて音楽理論はあまり必要ないのです。
その場の空気、一緒にプレイしている人との音によるフリートークみたいなものです。なので良くも悪くもその時の心理状態が伝わってくる。本作はそんなセッション=コミュニケーション(TPO)と言う比喩をレトロに、斬新なようで、あたかもそれが当たり前の世界のように落とし込んだ世界観は、自分の中にも当たり前のように底に流れている音色を感じた。その当たり前の雰囲気と言うのがとてもオサレでもあるが、再現するのは難しい所。
本作は随所で音楽流れているのですが、そこが肝になってくる。不自然にならないように。お決まりのスタジオでいつもセッションしているのですが、あえて参加せず相方の音を聞いて、あ~あいつ今あんな感じなんだなと、そんな描写がいくつもある。またお互い喧嘩中でセッションする際に言葉に出せなくても、音をぶつけ合ううち気持ちの疎通をはかったりと、そんな繊細なやり取りと爆発するようなプレイが、本作製作者の手腕に敬礼てな感じです。
■ジャズだからこそ
本作からしてジャズと言う媒体は最適なものでしょう。色々な種類のジャズがあるにしても、大体は自由な演奏が求められます。本作のセリフの中で「スウィング」がよく出てきます。揺れるって意味ですが、もうちょい掘り下げた意味で揺れるような気持ちいい演奏>その中でリズムを重ねていくことによって、発生する新たな音が生まれる。音が成長する。
本作の主人公は根暗な少年でした。ふとしたきっかけで学校の番長と出会い、ジャズ仲間になり、恋をして、段々と成長してゆく。理論(理屈)を捨てて音楽をコミュニケーションとし、セッション(新たに生まれる音)を成長すると言う、比喩を自然体で表現しきった本作は正直お気に入り。