蒼い✨️ さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
今のラノベ系レーベルを開拓したファンタジー作品。
アニメーション制作協力:マッドハウス
1990年11月 - 1991年12月に発売された全13話のOVA。
【概要】
フォーセリアという精霊や魔法が存在する世界があった。
かつては神々が現世に実在していたが、神話の時代に争い肉体が滅びたという。
人類が棲息し繁栄している最大の舞台がアレクラスト大陸であり、その南端に呪われた島ロードスが存在する。
大地母神と邪神が争っていた神話の時代に邪神の呪いが大陸に及ばないよう、
大地母神によって大陸から遥か南方に切り離されたという。
そこは様々な種族や宗教や国家が混在している地。
6つの人間の国家、2つのドワーフの王国、エルフが住む複数の集落があり、
他にもダークエルフやゴブリンやコボルトやオークといった種族が存在する。
ロードス島では約30年前に魔神戦争があった。
ある一人の人間の王が魔神王を復活させたことによって、
魔神の軍勢に襲われてドワーフの王国の一つが滅亡し、島全土で殺戮が繰り返されるようになった。
やがて、魔神王が本拠地とする「最も深き迷宮」にロードス全土から集まった討伐隊が送り込まれ、
迷宮に挑んだ約500名のうち生きて目標を達成した6名が「六英雄」と呼ばれ、生きた伝説として讃えられている。
彼らは元の生活に戻った者もいれば、国王となり現役の者もいれば、隠棲している者もいる。
時は流れ、ともに六英雄が治める神聖王国ヴァリスとマーモ帝国の戦争が始まらんとしているとき、
アラニア王国の北方の村・ザクソンの未熟な青年剣士のパーンの冒険が始まる。
【感想】
かの有名な角川春樹の弟・角川歴彦の総指揮で角川書店制作となってますが、
実質的に技術的なことは全面的にマッドハウスが担当じゃないでしょうかw
角川発のOVAとして有名なファンタジー作品です。
当時の未成年のファンタジーへの認識は、ドラクエかファイナルファンタジーってなものでして、
そこに、D&Dをベースとしたロードス島戦記のアニメの衝撃ってのは大きかったのではないでしょうか?
ドラクエアニメでは『ベギラマ!』『ベホマ!』(CV/キートン山田)と、
大声で叫べば一瞬で魔法が成立しちゃうわけで、
登場人物の魔術師スレインが囁くように長い呪文を詠唱するのはある意味カルチャーショックですね。
国民的超ヒットゲーム作品でありデザイナーの鳥山明の影響からかユーモラスで意図的にダサくしてあるドラクエから、
ちょっと背伸びして脱線したくなった層には、
登場人物の年齢が若干高くなるロードス島戦記は格好の餌だったわけですね。
特にヒロインのディードリットは今のRPGやラノベのエルフのイメージの始祖といえる存在ですが、
ドラクエアニメには無いタイプの金髪美少女で作画も気合が入っていて、人気がありましたね。
このアニメのセールスポイントは豪華声優陣。シャアの中の人とかアバン先生の人とか若本とかいますね。
そして、一番の目玉としては原案・出渕裕、キャラデザ・結城信輝による、
当時のTVアニメの水準を圧倒的に超越した作画ですね。
でも、私は作画に思うことがありw
人を斬るとき画面が暗転して剣筋だけしか画面に描かれないことが多すぎw
あと、動画としての動きが少ないよね。
観たところ、丁寧に描きこまれているものの登場人物やドラゴンをスクロールさせる演出が多すぎ!
一枚絵として写真でみたら綺麗な絵でも動画としては魅力や迫力に欠けてる気がしますね。
いちいち動かしてたら作画カロリーが高すぎて、映画並みの予算と人手がいるのでしょうけどw
ストレンジアとか進撃の巨人とか動かす絵に慣れてくると物足りないですねえ。
ストーリーやキャラ付けも薄いかなあ。
時代が近い作品として「銀河英雄伝説」と比べても性格的個性がなさすぎる、
キャラが単に物語を進めるための役割に準じている駒にしか見えないっていうか。
原因は解ってて小説版の原作者の水野良による当時のスニーカー文庫とか読んでみたら、
文章が真面目すぎるんですよねw
今時のラノベ風な内容とか人間描写がいいか?というと、そっちも疑問なのですが、
やはり最近の作品の作風に慣れてくると、すっごい地味な作品なのですよね。
あと、グリムガルを読んでると比較して、
初心者剣士のパーンが苦戦しながらもゴブリン倒したり、
強い仲間や稽古相手に恵まれてトントン拍子に剣の実力を上げていくとか、
なんだかなあと思ったり。
正規軍のモブ騎士がゴブリンやコボルトを相手にあっさり命を落としていくロードス島の世界で、
ゴブリンスレイヤーの世界じゃ、あっさり死にそうな初心者時代のパーンが、
弱いうちからなんとかなっちゃう、作者の庇護にもやもやしたりしますねw
気にしないのが一番なのでしょうけどね!
あとさ、原作では故郷からの旅立ちから15年ぐらいかけてパーンが冒険を重ねて、
『ロードスの騎士』と呼ばれる英雄に成長するのですが、
アニメだと「ダイの大冒険」もかくやという短期間で最終決戦にまで向かって、
同じ称号を得てしまうので、なんか違和感を感じてしまいますね。
どうも、昔のアニメは作画が綺麗であれば視聴者が満足してしまう傾向にあり、
シナリオ構成が弱いかな?と思える部分が多々あり、
今時の作品と比べると文芸的にかなり弱い、そんなアニメに思えました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。