「大図書館の羊飼い(TVアニメ動画)」

総合得点
65.3
感想・評価
648
棚に入れた
3997
ランキング
3394
★★★★☆ 3.4 (648)
物語
3.3
作画
3.4
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.5

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

K____Mei さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

迷える子羊たちの物語

昨晩、TOKYO MXとニコニコアニメチャンネルにて「大図書館の羊飼い 12話」が放送され、クリスマスイブの夜にこの物語は完結を迎えた。

「羊飼い」は聖書において牧師の意味があり、良き牧師であるイエス=キリストが生まれたクリスマス前夜に最終回が放映されたことに、深い感慨を覚えざるをえない。

聖書において羊は人間の暗喩であり、ともに弱い動物であるとされている。羊もわたしたちも、道に迷いやすく、一度道を見失えば、自分の力で元のあるべき場所に帰ってこれない存在だ。そんな非力な我々には導いてくれる良き牧師(羊飼い)が必要であると言えよう。

作中における羊飼いの仕事は「人助けをし、在るべき道に導くこと」であり、この点では聖書にある記述と一致している。
では、この作品は羊飼いが迷える人々を正しい道に導く物語なのか、と言われればそれはノーだ。
この作品では羊飼いよりも、むしろ迷える子羊である我々人間がフォーカスされており、羊と人間の"違い"を伝えたかったのではないだろうか。

最終回の白崎つぐみの演説を聴けば、この作品の伝えたかったことが見えてくる。冒頭で彼女はガチガチに緊張し、マイクに頭をぶつけ、声も上ずっていた。何千人もの聴衆を目の前に初めて演説をすれば、照れ性の彼女がパニックに陥るのも無理はないだろう。仮にこのまま演説を続ければ、失敗に終わっていただろうが、図書部の激励を皮切りに会場からは白崎を応援する声が自然と沸いてくる。道に迷いかけていた白崎を助けたのは、羊飼いではなく、か弱い羊であるはずの人間だった。
「わたしたちはちっぽけな人間の集まりです。(中略)でも、見ていてほしいのです。わたしたちは前に進んでいけると思います」と白崎さんは言った。
これが羊とわたしたちの大きな違いなのだと思う。我々人間は皆が迷える子羊であるとともに、羊飼いでもあるのだ。

わたしたちはか弱い羊であり、道を誤りやすい存在だと自覚しなければならない。でなければ、副会長がしたように道を違えてしまうかもしれないからだ。人間が羊である側面を排除した、完璧な羊飼いであることはありえない。もしそのような人物が存在するのであれば、それは人間と呼べるものではないのかもしれない。

迷える子羊が集まってつくりあげた奇跡の物語、アニメ「大図書館の羊飼い」。心が温まる良い作品でした。

投稿 : 2014/12/25
閲覧 : 194
サンキュー:

4

大図書館の羊飼いのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
大図書館の羊飼いのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

K____Meiが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ