アルカット さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
サイコパス2の善かった点。悪かった点。
サイコパス2期という事で、まず1期の評価について。
私は1期自体は良く言われてるように、「どっかでみたサイバーパンク風SFのニ番煎じだなぁ。」と思いながらも、どうしても大好きなジャンルの一つなので最後まで観入ってしまいました。(評価はあえて付けておりません。)
ですが、今回の2期はさすがに私も黙っていられませんでした。
何故なら、ふと1話・2話を見終えた刹那、涙を流していたのです。これには私自身ビックリでした。
ラブコメはもちろんのこと、恋愛モノやロボットモノでもほとんど泣かない私ですが、どうしてだかアニメに流されてしまいました。当期、リアルでの私生活が雑になっていたというのも有ったのかも知れません。
雑談はここまでにして、どうしてサイコパス2に感動したのかを考えてみました。
①勧善懲悪からの方針転換(脚本家の転換(?))
②前回とは90度違うキャラクターの個性
③色相とシビュラシステムの中身を知ってしまったから
①は、1期では槙島という一人の免罪体質持ちの悪人を追い続けるという勧善懲悪ストーリーでしたが、2期では、槙島を含む数人がシビュラシステムの内容を暴き出した事から始まった、いわゆる「"悪"とは何なのか」"善"と"悪"の本質を問うた内容に転換されていた様に見えました。
それを裏付ける為に、シリーズ構成・脚本担当が虚淵玄から冲方丁に変わった(虚淵氏はシナリオ監修)というのも布石だったのかも知れません。
(脚本には熊谷氏の名前も有りますが、実質うぶかた脚本だと思われます)
②は、1期では、ぶっきらぼうな熱血漢や、誠実な新人、リーダー的存在や、とっつぁん等、基本的に視聴者が馴染みやすく好まれやすいキャラクターが監視官・執行官ともども多かったと思います。
しかし、2期は少し様子が違っていて、キャラクターの個性が不安定ながら存在感が強烈でした。
◆とにもかくにも責任回避の考えで保身に回りたがる新人の監視官・霜月。
◆最初は冷静沈着な万能キャラに見えるも、回を追うにつれてどんどん落ちぶれていく狂気の執行官・東金。
◆悲惨な事故の生き残りで、更に死体をつなぎ合わせられてできた、人工人間(?)カムイ。考え方も独特でした。
◆そして、1期を経て更に一皮むけシビュラシステムの秘密を知りながらも真っ当を貫こうとする監視官・常守朱。
どのキャラクターも決して万人受けする個性では無いように思えますが、私はそれら全てが上手く調和していたように見えて、毎話奏でられる旋律が心地よかったです。
③は、特に視聴者目線での考え方です。1期でシビュラシステムの中身に関して盛大なネタバレ(?)をくらった事により、視聴者は常に色相等に関するシビュラの制度に対して疑問符を抱くことも有ったかと思われます。
私もそうでした。「この世界にシビュラシステムは必要なのか?」等と。
そこで突然ですが今回私は、珍しく偉い先人の言葉を引用する事にします(笑)
19世紀に生きた、「神は死んでいた」で有名な哲学者・ニーチェは、
善とは何か――人間において権力の感情と権力を欲する意志を高揚するすべてのもの。
悪とは何か――弱さから生ずるすべてのもの。
と述べていて、独自の観点で当時の近代思想を批判しました。
ともかく、私たちって普通にこれまで生きてきて"善"と"悪"なんて善い事と悪い事以外の何物でも無い。とタカをくくっていたと思います。
ですが、いかな悪人、例えば世紀の犯罪者視点からすると、その人よりも悪い人なんていくらでも存在するはずです。
また、例えばボランティアで日々善き行いをしている人視点からしても、その人からすれば、当たり前の事をしているだけであって、"善"では無い。となってしまうかも知れません。
→ つまりは、他人や他人の他人に対する(?)評価で、善悪の基準はコロコロ変わってしまうのですよね。
まとめになりますが、本作品内のキャラクターも、それぞれの"善"と"悪"の基準の元、我を貫き通していたように思えます。
1期の槙島・2期のカムイ・常守朱・シビュラシステム。特にこれらは自分なりの善悪の自我を最後まで持っていました。
私は、そんなキャラクター達や物語に惚れ込んでしまっていたのかも知れません。
(ここまで長文になるとは。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。)