「進撃の巨人(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
6405
棚に入れた
28987
ランキング
45
★★★★★ 4.2 (6405)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

westkage。 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

爽快感のあるアニメ!原作越えしている神作画はアクション好きなら必見!幅広い層にオススメ出来る作品です。

本作は「諫山創」の漫画を原作とした作品です。別冊少年マガジンで2009年より連載しており、テレビアニメは2013年4月から同年9月にかけて全25話で放映されました。丁度中間にあたる13.5話では、1話~13話までの総集編が放映されています。原作の単行本は累計発行部数が4000万部を突破している。これは名作「明日のジョー」や有名作「魔法先生ネギま!」の発行部数である2000万部の倍にあたり、懐かしの「シティーハンター」や人気作「バカボンド」と同じ発行部数であると言えば、その大ヒットぶりが良くわかっていただけると思います。これが新人作家の初連載作品と言うのだから驚きです。

あらすじ・・・今作の舞台となる100年以上も昔、人類は突如出現した「巨人」の登場により滅亡の危機に瀕していた。生き残った人類は巨人も通さない強固で高い壁を築きあげ、巨人の進行を免れた。壁は円状に3つ建設され、その内側だけが人間の領土となった。壁が人類の平和を支え続けて100年の時が経過した。城郭都市の外縁地区「シガンシナ区」に、人類が巨人の支配から自由を取り戻すために結成された組織「調査兵団」に憧れる1人の少年がいた。主人公の「エレン(10才)」である。しかし調査兵団は巨人の居る壁の外まで進行する事も任務に含まれるため死亡率も高く、また自由を取り戻すよりも目の前の生活に追われる住人達の中には‘税金によって維持される割には戦果の上がらない’調査兵団の存在を疎む者さえいた。ある日50mもある城壁から頭を覗かせるほどの「超大型巨人」が突如現れ、エレンが住む地区の壁を破壊してしまう。エレンは幼馴染の「ミカサ(ヒロイン)」「アルミン」らと共に避難するが、この事件でエレンは母親を亡くしてしまう。エレンは自分たちの平穏な生活をズタズタに引き裂いた巨人を強く憎み、兵団に入る事ための専門養成施設「訓練兵団」に入隊する事を決意。ミカサ・アルミンの2人も彼と同じく入隊を希望した。そして人類と巨人の戦いは幕を開ける…。といった感じですね。

正直な話、この作品を原作で初めて見た時はここまでヒットするものとは思えませんでした。好みもあると思いますが絵はお世辞にもキレイとは言えませんし、キャラの書き分けにしても誰が誰なのかハッキリわからないレベル。ストーリーも思い切った設定ではあるものの、奥が深いとまでは言えないように感じていました。しかし私の第一印象に反して、今作は大きな反響を呼びベストセラーの仲間入りを果たす事となります。これは一体どういう事なのでしょう。確かにつまらない作品とは思えませんでしたが、まさかここまでとは…。そこで本作がここまで売り上げを伸ばした人気の秘密に迫りたいと思います。当然私の主観100%で分析しますので、見当違いの部分も出ると思いますが悪しからず。

1・「人類vs未知の生物」という誰もが受け入れやすいテーマ
今作は「巨人」という、人類では無い生物との戦いを描く作品です。つまり宇宙からの侵略者のようなSFと同じような考え方ですね。人類を敵としない事で「解りやすい悪」を描く事が出来る訳です。これは地球が既に人類のモノとした上で、相手は侵略者扱いになるわけですから、討伐するのにも‘心が痛まない’という事ですね。巨人は喋れないという設定もGOODです。意思疎通が出来なく、一方的に人類を殺戮しようというのだから討伐も止むなし…という事ですね。また映画の「宇宙からの侵略者」を描くものは、昔から万人ウケしてきた歴史もあるので、誰もが受け入れやすいのかもしれませんね。

2・大義名分が立つ設定
巨人は無差別に人類を襲い殺戮する設定になっています。つまり戦うと言う事はイコール人類を守ると言う事で「何故戦うのか」という疑問を解りやすく解消しています。これが人類相手だと「相手にも戦う理由があるのではないか?」とか「首謀者はともかく兵士たちは命令のまま攻めているだけで悪意は無いのではないか?」など、討伐するにしても殺戮していい理由にはなりにくい…など議論が起こりやすい設定になってしまいます。そもそも言語が通じるのだから「平和的な解決は出来なかったのか?」など反戦的な意見や主張が出てしまいますね。

3・陣地取り合戦という解りやすいゲーム
人類は領地を取り合うという戦争を繰り返してきました。私たちが普段やっている「囲碁・オセロ」も陣取りゲームだと言う事を忘れてはなりません。家を買えばそこが自分の陣地になるわけですし、犬もニオイを付けては自分の縄張りをハッキリさせています。人間は自由を願うハズなのに、領地を限定する事で安心を得る…なんだか矛盾な気もしますね。人類みな仲間ですが、サッカーのワールドカップを見るときは、やっぱり自分の陣地の仲間「日本」を応援してしまいますよね。陣地の大小はあれど、同じ陣地に住む人間は‘仲間’(安心を共有している)と感じやすいのでしょう。
今作でも「壁」という、巨人の進行を防いで人類の領地を確保している陣地が存在します。物語初期で壁は破壊されて人類の領域が大幅に狭まりますが、その後に奪還作戦を発動させる事となります。つまりは陣取りゲームですね。そして、アニメ以外の多くの作品を見ても「籠城戦」で攻めるのは敵、守るのは味方…と相場は決まっています。この辺りも共感を得やすいポイントではないでしょうか?

4・小よく大を制す
「小よく大を制す」これは日本の有名な格言で「小さいものほど大きいものを見事に制するものである」という意味です。日本人は古来より西洋の人間に比べて体格も小さく、戦争や武道においての争いごとの中で、その体格差に苦しんできました。その‘小さい’というハンデをものともしない、日本人の精神が宿る格言ですね。柔道で言うと「柔よく剛を制す」という言葉です。日本には‘本来非力な者でも強者を倒すことができる技術’として発祥した武道が多いのですね。とにかく「小さいもの・非力なもの」が強者に立ち向かっていく様は、多くの人に感動と勇気をあたえる代表的な設定であると言えるのです。その点、巨人vs人類というのは見事に当てはまりますね。

5・銃や大砲に頼らないバトル
「手元のボタンを押すだけで核ミサイルが発射されて何十万人の犠牲者が出る」というように、近代では「軍事力という暴力とそれに見合う労力」の構図が非常に解りにくくなっています。今作でも中世時代の大砲程度の火力が存在しますが、巨人の弱点を限定する事で「刀で斬らない事には倒せない」という設定にしています。正直、やや無理のある設定に見えてしまいますが、これがある事によって前項でも述べた「小よく大を制す」が活かされる訳ですね。いくら小さいものでも「銃でズドン」と大きなものを倒しては、感動も生まれませんからね。

6・食物連鎖における頂点
「食物連鎖」と聞くと、私たちはどうしてもピラミッド型の構図を思い描いてしまいますね。その頂点に君臨するのが人間であると。そのピラミッド型の話で進めると、本作にもその様な表現が使われています。つまり、巨人が人間を殺す「食べる」というやり方は食物連鎖の一つであり、人間が動物を狩る事と同じである…と。リアルに言うと「白魚の踊り食い」をやっている光景と大差ない…ということですね。それを連想させるシーンも挿入されているので、この部分は今作の制作者側からも「発信したいテーマ」という位置づけなのでしょう。細かい事を言うと、人間は動物を食べる事でエネルギーとして活用するので、食べてそのまま吐く巨人と行動原理が違うと言うのは明確ですけどね。
しかし、このピラミッド状の食物連鎖という考えは古いようですね。実は食物連鎖とは生物間のエネルギーの流れのことを言い、構造的に円環をなしているので頂点など無い…という考えの様です。


・・・こんな所でしょうか?長々と解説はしてみたものの、総じて「共感を得やすい設定が多い」と言う事に尽きるのではないかと思います。またアニメとしては「原作の絵のチープさ」を全く感じさせない、非常に優秀な出来でした。確実に「原作越えしているアニメ」として評価していいと思います。作画は‘素晴らしい’の一言です。
ただ残念なのが、作画に手間をかけすぎたせいか毎話がスタートする時の「前話の回想シーン」が長すぎるという点です。作業が圧迫されて枚数が書けないのも解りますが、少し長すぎやしませんか?

色々と意見を書いてはみましたが、総合的に言うと「おススメ出来るアニメ」です。
深いテーマを感じさせられる描写がありましたが、個人的には‘深いようで深くないテーマ’という様に見えました。
逆を言えば、それほど気負いしなくても視聴する事が出来ます。
爽快感があり、作画にも迫力があるのでアニメ初心者から上級者にまで幅広く楽しめる作品です。


*以下、どうでもよい戯言です。作品の魅力を大幅に損なう恐れがあるので、閲覧注意です!!
{netabare}
1・壁のビックリ設定
ビックリするのは壁の内側の面積で「約72万平方km」だとか。
…え?日本より広くね? 
調べてみたら日本の面積が377,900㎢
…え?広すぎませんか?ww(;´∀`)
そして物語の起点となる845年の壁の中の人口が300万人超
…え?面積に対して少なすぎませんか?wwww
これ、もう少し何とかならなかったでしょうか?
リアリティが無さ過ぎて、私は萎えてしまいましたw

2・立体起動装置
まず、あのワイヤーの先端ですよね。
任意で刺せたり外したりできる先端の構造が謎すぎますww
あと現代の技術ならともかく、あんな中世時代の大砲を使っている文明で
人間の体重を支えられるワイヤーと、壁に突きさせる装置を開発できるのか謎ですw
この辺りは考えたら負けですね(;´∀`){/netabare}

投稿 : 2014/12/23
閲覧 : 476
サンキュー:

68

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