鶴 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
感覚3.0(ヘイボン)なアニメ
観終わってまずなぜこのアニメがここまで評価されているのか考えてしまった。
確かに箱としてではなく機械的なロボットに意思をのせたり、ボロボロになりながらなにかを失いながら進む戦闘シーンであったり、含みをもたせる設定であったりとエンターテインメントとしてはおもしろかった。しかしこれを見て、何かを感じたり、考えさせらる、見入るものがない。人々の内面を赤裸々に如実に顕著に描写しているだけであって、なにか画期的なことがいわれているわけでもないしどこか浄化ポイントがあるわけでもない。恐ろしく現実に足のついたSFアニメだった。だから他のSFアニメよりその実体を身近に感じやすくなり、人気に火が付いたのだろうか?
他の人の意見にはあえて主張しないことで、こちらに考えるスペースを残し、話題が話題を呼んだのだというものもあった。
確かにそう思う。流行を作るのは口コミだから。
この深いようで表層しかなぞっていないこともポイントかもしれない。
特に最終話、トラウマを抱えたことによる傷つかないための予防線をどうするか。自己のあいまいさ、己とは?他人とは?誰しもが悩むことに鋭利なナイフで切りこんでいた。しかしそこまでだ。ただただ表象をなぞるばかりで同じところをぐるぐる。しまいには自分の存在を他人に任せるのではなく自分で認めるという今までドロドロ悩んできたことが嘘かのようなごくごく当たり前の解決策となっていた。腑に落ちない。
そもそもこのアニメは終わりをしっかりと想定していたのだろうか?
いずれにせよ過大評価されてることは否めない。そのメッセージや爽快さなどではコードギアスに圧倒的に劣ると思う。
まとめると
NHKの番組ニホン戦後サブカルチャー史でも同様のことをいっていたが、
失われた10年と呼ばれる時代の中で、自己が社会の中で埋没していく感覚。
高度成長期、資本主義、定住生活のひずみ“逃げられない社会”のひずみを描いたものとしてはとても秀逸で、この時代感覚はさすがだと思う。
しかし
いかんせん主張が見えてこない(それが良さなのかもしれないが)ので自分は低評価とさせていただいた。