どらむろ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
少年漫画ダークファンタジー版必殺仕事人
人々を圧政で苦しめる帝国の支配に、義侠の殺し屋集団が立ち向かう!
帝具(ていぐ)という特殊能力武器で戦う、少年バトル漫画風味のダークファンタジー。
残虐展開あったり、敵も味方も容赦なく死亡していく殺伐とした作風。
割と古き良き王道な勧善懲悪ストーリー…な一方で敵側にも信念やドラマがあるので、命のやりとりに終始惹かれました。
{netabare}『物語』
ベタだが古き良き王道を感じさせる雰囲気(勧善懲悪、悪即斬!)が好感持てます。
序盤から主人公タツミの友人が残虐な殺され方、一見善良で可愛かった娘が吐き気を催す邪悪!?
タツミが邪悪女を一切の躊躇なく殺す!
…まずは序盤のショッキングな展開で、本作の作風が良く分かった。
ここまでやるか!?いや、ここまでやってくれる邪悪を、容赦無く斬る作風なのだ!
近年の良くも悪くもお行儀の良い作品も悪くは無いが、たまにはこういう邪悪vs正義(というより義侠というべきか)を真っ向勝負で描いた作品があってもいい。
タツミは少年漫画の主人公っぽい真っ直ぐな成長型で、アカメたちナイトレイドの仲間たちと交流していく。
ラブコメ要素は薄いが何気に微ハーレムで、割とコメディー要素も楽しかった。
仲間との交流が、殺伐としたバトル展開を幾分中和していた感。
…それでも次第に犠牲者が出始める。
それでもその想いを受け継ぎ戦い続けるアカメ達。
本作は良くも悪くも「命の価値が軽い」です。
そこが盛り上がりには欠ける部分も…
しかし。一人の死の悲劇を引きずらずに、櫛の歯が欠けるように仲間が、そして視聴者視点では敵側のイェーガーズも好感持てる奴ら多い為、一人一人散っていくのは寂しい。
本作は「キャラやストーリーの掘り下げが浅い」側面は確かにあるかも知れないけれど、一人一人ちゃんと見せ場はあり、(ストーリー上)無駄に死んだ主要キャラは居まい。
良くも悪くもそんな無常感が本作の醍醐味だと思うのです。
例えばラバックの犠牲はあまり振り返られていないが…彼の頑張りは視聴者が覚えてあげていれば、それで良いではないか。
中盤以降、最強の敵ボス・エスデス将軍にタツミがベタ惚れされてしまう展開で、大分コメディー要素が。
最強の敵が、最強の恋の脅威という矛盾した状況、エスデス将軍の強烈なキャラもあり、全く目が離せなかったですw
終盤は些か掛け足気味にキャラが散っていくのが寂しいが、勢いは最後まで衰えて無かった。
タツミとウェイブ共闘してのラストバトルは、王道で燃えた。
…まさかの終盤にきての主人公死亡は無常感ハンパ無くおそらくは評価割れると思うけれど、良くも悪くもそういう作風を、私は好意的に評価します。
最終話、あまりにチート過ぎるエスデス将軍とアカメの一騎打ち、御都合感は若干あれど、ラストバトルに相応しい熱さあり!
劇中タイトルに反し中々斬らなかったアカメであったが、やはりタイトル通り斬ってくれて良かった。
辛いラストではあるも、死んだ者達の想いを受け継いで生きるアカメにせめて幸あれ!と思いました。
…総じて、「良くも悪くもキャラを大事に扱われていない」のが本作の魅力かと。
古き良きベタな王道勧善懲悪バトル、細かい点ではストーリーは良いとまでは言えないものの、十分以上に最後まで楽しめた良作だと思ったです。
『作画』
キャラデザは好み、アカメやクロメ、マインなどシャープな美少女多し。
能力者バトルの迫力も十分以上。
かなりグロもあり、好みが割れるかも。
『声優』
タツミ役の斉藤壮馬さんは少年漫画主人公らしい好演だった。
アカメ役の雨宮天さんはクールビューティー、やや地味だが感情極まった演技は中々。
大橋彩香さんは「さばげぶ!」に続きゲスかわいいクロメを好演。
花澤香菜さんのセリューも狂気全開で迫力満点。
全般に配役は合っている上に結構豪華か。
ボスの水野理紗さんも、さほど異和感は感じ無いです。
MVPはエスデス将軍の明坂聡美さんか。
冷酷な強さとタツミにデレデレな可愛さの危ういバランスを好演。
名塚佳織さんのチェルシーも良かった。
『音楽』
前後期OP・EDいずれも中々の良曲だが、特別印象的とまではいかない。
雨宮天さんは歌も上手いなぁ。
『キャラ』
タツミは強い志を持って成長していく少年漫画的な主人公で好感が持てる。
友人を惨殺した外道女を躊躇なく殺したシーンで、好きになった。
彼我の実力を弁えて悔しさ堪えて撤退判断したり、熱血だけでは無いクレバーさも良い。
味方も敵も個性的かつ皆感情移入出来る良キャラ多し、それだけに犠牲は寂しい。
アニキはグレンラガンを彷彿とさせる、タツミの師であった。
ラブコメ的にはマインが可愛い。
チェルシーは良きお姉さんであった…。
敵側もクロメちゃんが可愛かったり、ボルスさんがめっちゃ良い人だったり。
本当に、どのキャラも死んで欲しく無いくらい魅力ありました。
本作を代表するキャラ一人選べと言われれば、エスデス将軍なのでは。
圧倒的無敵っぷり!なのにタツミにデレデレな乙女可愛い!
にもかかわらず、敵としての信念は決して曲げなかった。強い。
エスデス将軍が居なければ、本作はかなり地味になっていたと思う。
アカメはメインヒロインの割には影が薄かったが…
終始、凛とした刀のように怜悧な美しさと可愛さあり、やはりヒロインはアカメだった。
あと、大臣も素晴らしい悪役の鑑。
王道作品には、彼のような悪役は大事です。{/netabare}