らしたー さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
今さら死体を蹴ってどうする。
感想としてはこれだけ。
劇場版やリアルイベント盛り上げのための話題つなぎとしてなら、この程度でOKという判断だろうか。ぶっちゃけ「その程度」にも達していない出来だったようだが。
細かい話はさておき、そもそもの前提として、2期の脚本を担当した人って、1期をどういうモノとして把握してたのだろうか。
まさかとは思うけど、完成された世界観と緻密な設定で支えられていた作品とか、とんでもない勘違いをしてたんじゃないのか。だから、そこを広げれば作品世界をさらに深く掘れると、考えてしまったのではないか。
冗談じゃない。
シビュラシステムに説得力を持たせる努力なんて毛ほどもしてなかったし、細部の設定にいたってはロンダルキアの洞窟ばりにポコポコ穴だらけだし、それでも、設定の穴を小賢しく取り繕うよりは、なんとなく高尚っぽい雰囲気と衒学趣味と刑事ドラマのスピード感でもって、ハッタリで最後まで乗り切ってやろう、という、1期サイコパスはそういう作品だよ。
だからこそマキシマもシンプルに「総論」を問うたわけですよ。
シビュラが支配する社会の在り方を。自らの意思で行動する価値を。日本が唯一の法治国家と言った挙句にあのメット騒動が起きた事実をもって、シビュラに飼いならされた人間たちに、その危うさをわかりやすく提示した。
シビュラシステムはあきれるくらいにダメ子ちゃんだよね、という視聴者と作り手の暗黙の共通理解を下敷きにして、その上で、主要人物たちが何を考え、何に迷い、どう行動し、どういう結末に至るのか。1期サイコパスは、すごくシンプルにそれをドラマタイズしただけですってば。
そこへもってきて、今さら「各論」で攻めてどうすんだ。
とっくの昔にシステムとして破綻認定されてしまったシビュラ対して、少なくとも視聴者とそういう合意をしてしまった後に、まるで死体を蹴るかのように、「こんなのも裁けないでしょ? 矛盾するでしょ?」などと詰め寄ってどうするよ。その先にどんな魅力的なドラマが生まれるのさ。
私からすれば、キャラが魅力的じゃないとか、そういう以前の問題。
すっごく根が深い。