STONE さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
枝葉描いて、木を描かずみたいな
原作は未読。
ファンタジーと言うと、まず思い出してしまうのが「剣と魔法の世界」をイメージさせる
中世風のやつ。もろ中世風よりは華美を増したような近世風も内容的にはこの範疇かな。
それに対峙するように多いのが現代を舞台に魔法を駆使するようなやつで、現代が舞台ゆえか
SFっぽいテイストの作品も多い印象。
で、個人的に比較的穴場だなと思っているのが、この両グループの間に位置するような近代風
(産業革命から第二次大戦前ぐらいの雰囲気)の作品。
この作品はまさにそんな感じで、舞台設定だけでそれなりに個性は得られている感じだし、
作品自体はSFやホラーではないが、ゴシックホラー、戦前のSF小説、スチームパンクなどに
通じるような雰囲気もあって、個人的には割と好み。
あとイギリスを舞台に日本人の少年がやってくるシチュエーションを考えても、この辺の時代
設定は説得力があるんじゃないかと。ファンタジーはある程度なんでもありとはいえ、騎士や
ドラゴンが活躍する世界に日本人がいると違和感はありそう。
主人公の赤羽 雷真だが、良く言えばクール、悪く言えばすかした印象で、割とラノベ原作
作品に多くいそうな感じ。
個人的にはこういうタイプの主人公はあまり好きではないのだが、こういったタイプの
主人公には珍しく一族の仇討ちという明確な目標を持って乗り込んでくるのは割と好感が
持てた。
ただ仇討ちにやってきたのに、結局は余計なトラブルに巻き込まれてばかりの印象。
山場として色々な陰謀があり、主人公がそれを解決していくくだりがあること自体は悪く
ないんだけど、設定の本筋の仇討ちの手段として「夜会」に参戦して上位を目指すくだりが
ほとんど描かれない。せっかく雷真クンに明確な目標を持たせたり、「夜会」の細かいルール
説明描写があっても、それを活かせていない感じでなんか勿体ない。
部活スポーツものに置き換えると、部内や部員の問題などは描いたけど、試合シーンは
ほとんど描かれなかったみたいな。
あと設定や世界観の説明が足りない感じで、突然後出しじゃんけんのように出されたりする
こともあるから面食らう。
このためか、それほど難しくない話をわざわざ難しくしている印象があった。これは謎めいた
感じにしたいための演出なのか、単に構成、演出が下手だったのかは判らないけど。
結局は謎だけをいっぱい提示して、それが明かされることなく終わってしまった感じだが、
完結していない原作作品の場合よくあることだから・・・、まあいいや。
全体的には何を見せたいのかはっきりしない印象で、時代設定や世界観は割と好きだった
だけに残念。
キャラに関しては夜々が印象的。
嫉妬心丸出しだったり、所構わず発情したりが、笑いどころでありつつ可愛いところでも
あるのだが、シリアスな状況でこれをやられるとちょっとうざく感じる。
もっとも彼女は場の空気より己の感情を優先させるキャラみたいだから、これはこれでぶれて
ないんだろうけど。
この夜々のファイトスタイルだが、もろ力押しといった感じで、個人的にはこういう小細工
なしのシンプルな戦い方は結構好き。まあ、単調と言えば単調なんだけど。
EDだと、この夜々に加えて、いろりと小紫で雪月花三人娘みたいな感じで押して
いるんだけど、作中はいろり、小紫はあまり出番なし。この辺もなんか不思議。
やや淡いタッチの色合いは割と好きでした。