ゲイリーヨシキ さんの感想・評価
2.6
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
徹底的に考察したけど・・・
このアニメに関したら完璧に好き嫌いの問題だけど、でも、このアニメだけはどうしても受け入れられない。
中盤までは「良いんじゃないのかな?」みたいな感じで見てたけど、だんだん登場人物の内情やらなんやら明らかになってきてどんどん気分が悪くなってきた。
まず、「なんでこのアニメはフツーの人間がいないのか?」と思った。
フツーの人間ってのは言葉どおりのフツーの人間。でもここで言ってるフツーの人間ってのは、あくまでアニメや漫画においてのフツーの人間。つまり、やるときゃやる人間。普段はぐーたらでも大事なときはちゃんとやるべき事を見つけて遂行していく人間。鍵となる人間。こういう人間が物語に一人はいないとカオスな状態が続いていくだけだ。
どうもこのエヴァンゲリオンってのは主要登場人物を複雑な人生を送ってる人間にして物語を構成してるようだが、これじゃあ物語の進行も滞るわけだ。
確かに宗教関連の話と登場してくる事柄や使徒などを関連させているのにはそれなりに評価している。個人的にそこがエヴァンゲリオンの私が好ましいと思っている真髄・・・奥の深さだと思っている。
しかし、「物語の真髄」は私が思っているのとは違い、主要登場人物の苦悩であるようだ。
「そうか。でも、それならたとえ欝多き物語と言えども最後には主人公も苦悩から救われるんだ」
従来のアニメを見てきた人なら私と同じように感じる人もきっといるだろう・・・。
そんな事を意図も簡単に打ち破ったかのように終盤はどんどん主要登場人物の状況が悪化していく。
碇シンジ。コイツに関しては、激しい怒りと哀れな気持ちを抱いている。旧劇場版含めてコイツは自分の中で引き起こっている葛藤に打ち勝ったらしい。自分を傷つけ、裏切る人間なんていっそう消えてしまえ。そうやってサードインパクトまで起こして、やっとコイツは自分に打ち勝って他人と共存していくという結果に辿り着いた。なんというかコイツは脆弱すぎる。世の中、人に傷つけられたり、裏切られるなんて日常茶飯事。それが嫌だから逃げて逃げて、あげくの果てには、みんな消してしまえなんて傲慢にもほどがある。ただ甘えたいだけなんだよ、コイツは。誰かにもっと大切にしてほしいなら自分から人を大切にしないと誰も大切になんかしてくれない。それが嫌なら他人なんて求めず、一人で生きていけば良い。それも嫌ならいっそ死んでしまえばいい。"僕"は必要ないんだよ。親父に捨てられた過去があろうとみんながソレに同情してくれるほど世の中甘くない。コイツと同じくらいの年齢の人や同じくらいの精神年齢の人なら同情できても、大の大人から見たら、コイツに同情するのはただ単にそういう未成熟な奴らの傷の舐め合いなんじゃないのかと思う。それじゃあ気持ちが楽になっても前へは進めない。教訓にならない。
ならせめてこのどうしようもねー主人公を正しい方向に導いてくれる大人が一人でもいればなあ。そういう大人の葛城ミサトさえも拒みやがったんだからコイツは。まぁ葛城ミサトにもシンジにとっては受け入れたくない事情もあるようだし、アスカに関したら愛とかじゃなくて自分を慰めモノのように見ているシンジに腹が立つんだろう。
なぜ哀れと思うのかは、大人の事情によって情けない人間のレッテルを貼られたから。予算の関係とかやらであのような最終回に発展したと聞いたが。劇場盤なんて完璧に監督のエゴ。「皆殺しの富野」に影響を受けた「皆殺しの庵野」かよってwあれじゃあ視聴者に説明が足りなさすぎる。その不満をぶつけられるのも主人公である碇シンジであるから。
長くなったから結論を言うと、この作品は大嫌いだけど駄作ではない。作品として評価はしているけど、個人的に嫌いなアニメ。斬新的なシナリオにはこれでも評価しているし、ここまで特に避けられがちな人間の負の部分を引き出しているアニメは他にない。ただ、だいっ嫌い。
嫌いなのはただ単に、好き嫌いの問題。ちなみにキャラの良さとかかわいさとかそういうのは特に感じなかったし、そもそも惹かれない。
とりあえず、私の好みに合うなと感じている新劇場版に期待している。