三崎鳴 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.5
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
吐き出したその命は まだ形を残しているわ
『PSYCHO-PASS』第二期。一期のエンディング後の世界を描く正統な続編だが脚本家がバトンタッチしたため作風は大きく変わった。シリーズ構成の沖方丁は小説『天地明察』『マルドゥック・スクランブル』やアニメ『蒼穹のファフナー』『ヒロイックエイジ』など数々の作品で知られるSF作家。そもそも一期で虚淵脚本特有の「主人公の中では表面的に完結したけど事態の根本的な問題は何一つ解決されていないエンド」を迎えたがために再び前作同様にシステムへの疑問を投げかける内容の話になっている。それは構わないのだが今回はSF作品の悪い面である「体制の矛盾の説明と対処についての説明に時間を割いて作品本来のテーマ性を見失いがちになる」現象が顕著に表れているような気がする。前作のテーマ性と言えばありがちだが「発達した社会故の矛盾と不自由」といディストピアもののそれだったが、今作の目的が何なのかと言えば蒙昧としすぎていて分からない。それこそ自分の理解力不足が招いた結果なのかもしれないが、今作の虐殺シーンとサスペンス描写の多さはそれを誤魔化すためのものに見えてしまう。演出のチープさと敵役の小物感、そして肝心なシーンでの台詞回しの空回り、色々とちぐはぐになっていた結果強引に纏めたという雑な印象が強い。一期よりも面白いという意見は見かけるし好みの問題かとも思うが自分は本作については質を落としたな(展開の意外性だけで全体的に安定感がない)、と感じてしまった。自分が今作に惹き込まれない一番の要因はキャラクターに魅力がないことだとは思いますが。今後、劇場版の上映が控えているためそちらに期待したい。