kids さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
壮大な世界観で空を駆ける物語
アニメオリジナルの作品で、後に小説化等もされています。壮大な世界観で話が展開されるので、話についていくのは結構大変でした。何周かする、もしくはwikipedia等で知識を補完しながら試聴するのをおすすめします。
あと実はこの作品、喜多村英梨さんと花澤香菜さんのデビュー作なんです。ヒロインを演じる斎藤千和さんにとっても、初めて声優業について深く考えさせられた、ターニングポイントとなった作品なのだそうです。そういった「歴史的(?)」な意味でも割りと重要な作品だったりします。
★ストーリーについて
夢を追いかける主人公たちが、世界の渦に巻き込まれていくというのがあらすじの簡単なイメージです。そしてこの作品の良さは、世界観が作りこまれているだけでなく、キャラクターも生き生きとしていた点だと思います。大抵の作品ではこの2つが両立していることはほぼないので、客観的にストーリーを追いかけても、主観的に登場人物に感情移入しても楽しめるというのはさすがだなと思いました。
この作品の世界観の肝は{netabare}ギルドの存在と黒幕のデルフィーネ{/netabare}にあると僕は考えています。そしてこの世界観には管理社会の利便性と独裁者の危険性という2つのテーマが隠れているように感じました。対立するものを管理する制度があることで争いを管理することにつながっていたわけですが、それは管理するものに大きな負担がかかり、しかも管理するものが崩れれば社会が簡単に崩壊する危険性も孕んでいます。この作品はその社会を破壊したところで終わってしまいますが、その先に人々は何をなすべきかというのが重要であるということを忘れてはいけないと思います。
★登場人物について
主人公は小さな飛行艇を操るパイロットのクラウスです。ナビとして彼と共に飛び、進むべき空へと導く、ヒロインのラヴィとコンビでヴァンシップ乗りをしています。{netabare}彼は空を飛ぶこと、そしてグランストリームを越えるという夢を持っていて、作中ではなんだかんだ言ってもこの夢のために空を飛んでいるというところがブレていなかったのが良かったと思います。一方で色恋沙汰には疎いところがあり、それが物語の中盤で重要な働きをしてしまうという弱点もあったりしますが・・・。{/netabare}
ヒロインのラヴィは、クラウスの幼なじみとしていつもクラウスと一緒に生きてきていました。{netabare}ですが物語が進むにつれて、クラウスに対する感情に悩まされることになります。タチアナとの絡みはこの作品の見所の一つだったといえるでしょう。{/netabare}
個人的に好きなキャラクターはディーオです。{netabare}主人公たちとは敵対するギルドの人間なのですが、彼の本質は自由に空を駆け回りたいというただ一点にまとめることができます。誕生日会を開いてもらったときの彼の姿に感じるものがあった人も多かったのではないでしょうか?初登場時と視聴終了時で印象が大きく変わったキャラの筆頭です。彼のただひたすらに自由を求める姿には、どこか共感できるところがありました。{/netabare}
彼ら意外にもイキイキとしたキャラクターが次々に登場します。誰が観ても、きっと一人はお気に入りのキャラがいることでしょう。
★その他
2003年に放送されたとは思えないほど、画のクオリティが高かったです。当時のアニメ制作や放送の環境はあまり良くなかったとのことなので、そんな中でここまでの作品を創りあげた製作陣の方々には頭が上がりません。今放送されても違和感なく通用するレベルだと思いました。
あと、この作品には続編があるのですが、続編を作り始めるまでには3年間のブランクが必要だったそうです。それほどまでに完全燃焼して作られた作品なだけはあると思いました。
★最後に
知名度に難ありですが、間違いなく名作の一つに数えられる素晴らしい作品だと思います。続編もあることですし、時間があるときに観てみる価値は十分にあると思います。