蒼い✨️ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
待ちくたびれてる男はダメでしょ!
アニメーション制作:キティ・フィルム、スタジオぴえろ
1983年2月13日に公開された劇場版作品。
高橋留美子による漫画作品が原作ですが、今作品はオリジナルストーリーです。
【概要/あらすじ】
夕方の公園。二人だけで影踏み遊びをする幼い男の子と女の子。
男の子が女の子の影を踏んだと主張すると、
『私の星では、影を踏んだら結婚の約束をしたことになるのよ』
『11年経ったら迎えに来るわ!待ってて!きっと待っててね』
そう言い残して、女の子は空に帰ってしまう。
そして、11年後。友引高校2年4組・諸星あたると謎の女エルの結婚式の招待状が、
諸星あたるの関係者一同に送られる。
『エルって誰?』学校中が、その話題で持ちきりだ。
あたるはラムや三宅しのぶ、面堂終太郎にラム親衛隊に激しく責め立てられるが彼には身に覚えがなかった。
そんな時、友引高校の上空に巨大な円盤が現れた。
そこから出てきたのは、11年前の婚約を果たそうと迎えに来たエル星の女王・エルの使者なのだった。
【感想】
押井守監督の初の劇場映画作品ですが、押井氏にとっては甚だしく不本意な仕事だったようでして、
前任の監督が途中で投げ出して、仕方なく引き継いだといいます。
脚本を書いた金春智子は原作者・高橋留美子の作風の理解者らしく、
原作者の意向に100%沿ったシナリオが完成していたようですが、
勿論、へそ曲がりの押井守にとっては他人の敷いたレールに沿ってアニメを作るのは苦痛だったでしょう。
押井監督自ら絵コンテを切って、脚本段階から色々と改変を加えたのですが、
それでも満足出来る完成度にならなかったようでして、
原作者の高橋留美子からは大絶賛。逆に、友人の宮﨑駿監督からは賛意を得られなかったことから、
次回作、『ビューティフル・ドリーマー』でのリベンジの出発点となったわけですね。
というか、完全に自分の思い通りの作品じゃなきゃダメだ!という押井監督の原点になったアニメ映画ですね。
さて、内容はTV版の延長線みたいな展開で、4週に分けて放送すればええじゃんって感じ。
ラムちゃんの一途な思い・可愛さを楽しめれば、それが全ての作品ですね。
逆に男の扱いが雑と言ったら雑。
あたる君がラムちゃんに心動く描写もあるのですがクズマさんがマシに思えるほど本質的にクズ過ぎる。
無責任・身勝手・強欲。女心のダシに使われただけで映画では彼は何もしていないですね。
なんで、こんな男にラムちゃんが惚れたのだか?映画だけ見る分には理解できない内容ですね。
『女心を理解できない』押井守氏にとっちゃ、
一本筋が通った強くて可愛い女性陣 vs 欲深で助平で自発的に働かない男性陣 な今作は不本意ですし、
時間不足&人手不足な制作環境で、自身の作家性を表現できず修正を加えきれなかった、
まさしく妥協の産物であったようですね。
繰り返すようですが、ラムちゃんファンには楽しめる出来。
ラブコメとしては、内容に偏りが見られて不完全燃焼な映画だったというのが、
私が観て思った評価でした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。